更新日: 2024.01.20 贈与
5歳の子どもが数万円の「お年玉」を受け取りました。親への贈与、子どもへの贈与、どちらになりますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
お年玉を受け取ると税金はかかる?
アバントグループが行った「子どもが貰ったお年玉の管理事情調査」によると、就学前の子どもが受け取ったお年玉の管理は、全額を預かる親が8割以上ということが分かりました。親戚が多い場合は金額も大きく、まとまったお金になるため、受け取ったお年玉にかかる税金について確認しましょう。
お年玉に贈与税はかからない
国税庁によると、個人から財産をもらった場合は贈与税の課税対象になります。しかし、お年玉は以下の「社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い」に合致するため、贈与税はかかりません。
【第21条の3-9】
「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しない」
「社会通念上相当」について詳細な金額の規定はありませんが、一般常識内の金額であれば、お年玉をあげるのは問題ないと考えられます。
子どもでもお金をもらえば税金はかかる
お年玉は贈与税の対象外ですが、贈与税の課税に年齢制限はありません。そのため未成年の子どもがお小遣いとしてお金をもらった場合であっても、金額によっては贈与税を支払う必要があります。
1年間に贈与された合計金額のうち、110万円は基礎控除額として非課税ですが、110万円を超えて贈与を受けた金額に対して贈与税が課税されます。
ただし、以下の贈与については条件を満たした場合、一定の金額は非課税となります。
●祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合
●父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
※出典:国税庁「財産をもらったとき 贈与税の非課税」
子どもや孫の年齢・非課税となる金額については、細かく条件が設定されているため、詳細は国税庁ホームページでご確認ください。
お年玉は子どもへの贈与? 親への贈与?
お年玉を受け取るときや贈るとき、子どもが小さいとうまく受け取れず親戚から親に渡すこともあるかもしれません。この場合は子どもではなく親に贈与したことになるのでしょうか。「贈与」が成立する条件と成立しない事例について解説します。
「贈与」は贈る側と受け取る側の認識がポイント
民法上「贈与」が成立する条件は以下の通りです。
【民法 第549条】「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」
贈る側が贈与したつもりでも、受け取る側が贈与を認識できていない場合、贈与は成立しません。そのため民法上の贈与を成立させるためには、お年玉を子どもにしっかりと渡し、親権者はそれを認識する必要があります。
「贈与」が成立していないケース
「贈与」は受け取る側と贈る側の双方が認識していることが要件なので、贈る側が受け取る側のために準備しているお金には贈与税がかかる場合があります。
例えば、孫への贈与を目的として祖父母が孫の名義で作った銀行口座に貯金している場合、この銀行口座の存在を孫が認識・管理していなければ、孫への贈与は成立しません。
孫が成人を迎えて上記の銀行口座の通帳や印鑑を渡せば贈与は成立します。その際、銀行口座に110万円以上入っていれば、贈与税の基礎控除額110万円を超える金額が贈与税の課税対象となります。
お年玉の金額が常識の範囲内であれば贈与税の心配はいらない
お年玉は「年末年始の贈答」として贈与に当たりますが、贈与税の対象とならないお金です。一方で「社会通念上相当と認められるもの」という前提条件があるため、一般的な金額からかけ離れたお年玉は「年末年始の贈答」を超えた贈与とみなされる可能性があります。
贈与税は1年間に受け取った金額が110万円以下であれば、そもそも発生しないので、受け取る子どもの年齢に見合った金額を考慮するといいでしょう。
出典
アバントグループ 子どもが貰ったお年玉の管理事情調査
財務省 贈与
国税庁
第21条の2 《贈与税の課税価格》関係 21の3-9
財産をもらったとき
e-GOV法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法 第549条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー