更新日: 2019.01.10 葬儀

それぞれの価値観やライフスタイルによって変化する埋葬のカタチ

それぞれの価値観やライフスタイルによって変化する埋葬のカタチ
それぞれの価値観やライフスタイル、家族構成の変化により、最期の見送りのカタチが変化しつつあります。

仏壇仏具業界、葬儀社業界の市場規模、売り上げは減少傾向と言われています。反面、さまざまな業種から新規参入あり、エンディング産業と言われる業界は新しい局面にあるようです。

そんな時代の中で、想いを遺す、想いを受けとめるために、さまざまな選択肢があることを知っておきたいものです。
大竹麻佐子

Text:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

葬儀のカタチと費用

現役か引退後か、地方か首都圏か、その方の交友範囲や宗教上の観点によって、葬儀の規模や形式はさまざまです。よって、費用もさまざまです。
 
保険会社などの資料では、最終整理資金は200~300万円という記述を見かけます。ただし、これは目安として参考程度にとどめるのがよいでしょう。傾向としては、葬儀の費用は小規模化しています。都内の葬儀社経営者の話では、昨年度、創業以来最多の受託件数だったにも拘らず、売り上げは大幅減だったそうです。
 
近親者のみで行う「家族葬」を中心に、お通夜を行わず、火葬と同日に告別式のみを行う「一日葬」、火葬のみの「直葬(ちょくそう)」などが増えています。
 
直葬の場合、公営の火葬場であれば棺、寝台車、移動用の車代、骨壺代などを含めて14万~20万円程度に費用を抑えることができます。
 
いずれにしても、後悔しない葬儀を行うためには、事前にリサーチをする、複数の葬儀会社に問い合わせをする、見積書の内訳を検討する、評判を聞く(調べる)などが考えられます。対応してくれる葬儀社の「人」で判断することもひとつです。
 

埋葬のカタチ

「先祖代々の○○家の墓」から、埋葬についても変化がみられます。
 
一般のお墓でも親族で共有したり、おしゃれな絵やデザイン、大切にしている言葉を彫刻したりと、自由な発想で選ぶ方が増えています。公営、民営、寺院の運営などがありますが、初期費用として墓石代、維持費用として継承者がいる限り、管理料や使用料が必要です。
 
室内で、駅の近くに多く存在し、高齢になっても通えるなどの理由で人気なのが納骨堂です。墓石代などがかからず、費用を抑えられます。継承者がいなくなった際には、永代供養で合祀(ごうし)されます。
 
合祀墓(ごうしぼ)は、不特定多数の方々の遺骨を共同で祀るタイプです。継承者がいない場合でも、運営者が永代にわたって供養と管理が約束されているので、無縁墓になりません。
 
新しいタイプとして、とくに女性に人気なのが樹木葬です。シンボルツリーと言われる大木の周囲に埋葬するものや、好きな草花に囲まれた場所など、その内容も多様化していると同時に、価格上昇傾向です。預かり期間や管理料もさまざまですので、前もって資料請求するなどの準備をお勧めします。
 
自然に還る(かえる)という希望から、大好きだった海に粉末化(1~2㎜程度)した遺骨を撒く海洋散骨などもあります。
 
一部を自宅や身につけるアクセサリーとして手元供養する方もいらっしゃいます。
 

多様化にともない出現する新ビジネスと注意点

個人の想い、経済的事情から、さまざまな葬儀や埋葬のカタチがみられるようになりました。それと同時に、さまざまな葬儀ビジネスも誕生しています。粉骨(上記の遺骨の粉末化)無料をうたいながら、手元供養に数十万円を要求するなどのトラブルも頻発しています。
 
故人をいつも身近に感じられることはとても幸せなことです。くれぐれも「良い客」にならぬよう、自分自身の目と耳とココロを持ちましょう。
 

終活という言葉の意味

終活のツールとして、「エンディングノート」に取り組んでみてはいかがでしょう。遺言のように法的効力はありませんが、人生を振り返る、想いをつづる、想いを遺すという観点から有効です。
 
「終活」というと、葬儀やお墓など、人生の最期にむけての準備と考える方が多くいます。また、業界の営業トークとして使われるイメージありますが、本来は「残りの人生をよりよく生きるために、どう生きるか考えること」のはずです。今までの人生を振り返り、これからの人生について考えていきましょう。
 
Text:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士

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