更新日: 2024.01.04 贈与
父が「10年以上」引き出していない口座の100万円を贈与してくれますが、そもそも引き出すことはできますか?
そこで本記事では、10年以上引き出していない口座の預貯金は、法律上どのように扱われるのかについてと、引き出しに必要な手続きについてまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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10年以上取引のない預貯金口座は「休眠預金」になっている可能性がある
2018年に法律が変わり、10年以上取引がない預貯金口座は、一定の手順を経たうえで「休眠預金」として取り扱われることになりました。そのため、10年以上放置した口座のお金は、通常の手続きでは引き出せなくなっている可能性があります。
休眠預金とはなんなのか、放置された口座が休眠預金になる場合・ならない場合の分岐点はどこにあるのかを見てみましょう。
休眠預金とは
2018年1月に施行された「休眠預金等活用法(正式名称「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」)」の適用により、10年以上取引がない預金のうち、2019年1月以降に発生したものは、休眠預金として扱われます。同法の対象となるのは、普通、定期、当座、貯蓄などの名目の預貯金口座です。
休眠預金となった口座の預貯金は、預金保険機構に移管され、NPO法人などの民間での公益的な活動の支援のために活用されます。
10年の間に入金などの「異動」があれば休眠預金にならない
預金の引き出しを10年以上行っていなくても、最後の取引から10年が経過するまでの間に、次のような「異動」に該当する手続きを行っていれば、休眠預金とは見なされません。
●入出金(◎)
●第三者からの支払い請求(手形、小切手など)(◎)
●休眠預金になりそうな預金の公告に対する情報提供の求め(◎)
●通帳や証書の発行、記帳、繰り越し
●残高照会
●契約内容・顧客情報の変更
●口座を借入金返済に利用する旨の申し出
●預金などに係る情報の受領
●総合口座などのほかの預金の異動
◎が付いている3項目は、どの金融機関でも共通して異動と見なされます。それ以外の項目は、金融機関によって異動と見なすかどうかの扱いが異なるため、取引先金融機関に確認しましょう。
通知が届けば休眠預金にならない
取引のない期間が10年を経過したら、全ての口座の預貯金がいきなり休眠預金となるのではありません。
まず、最後の異動から9年が経過した時点で、各金融機関のウェブサイトに、休眠預金になりそうな口座に関する公告が出されます。このときに気づいて問い合わせをすれば、異動があったと見なされて休眠預金にはなりません。
また、当該口座の預金残高が1万円以上あれば、金融機関から登録住所やメールアドレスに通知が送られます。通知が返送されずに届けば、休眠預金になりません。
通知が届かなければ、気づかないうちに口座が休眠預金になる可能性があります。連絡先が登録したものから変わった場合は、すぐに金融機関に届け出ることを心がけると安心です。
休眠預金になっても預貯金は引き出せる
休眠預金になった預貯金は、公益のために活用されますが、名義人が財産としての権利を失うものではありません。休眠預金となったあとも、金融機関に本人確認書類や通帳・キャッシュカードなどを持参して手続きすれば、引き出しが可能です。
ただし、金融機関ごとに手続きの方法が異なるほか、休眠口座を継続して使えるかとか、休眠預金を現金で受け取って解約となるのかなどの取り扱いが異なります。詳細は、金融機関に直接確認しましょう。
また、休眠預金の引き出し手続きは、通常の預金引き出しと比べて、時間がかかる可能性があることも覚えておきましょう。
10年以上引き出していない口座でもお金は引き出せる
10年以上引き出していない口座の預金は、休眠預金になっている可能性があります。休眠預金でも引き出すことは可能ですが、金融機関の窓口で所定の手続きをする必要がありますので注意しましょう。
ただし、旧郵便貯金の定期貯金など、一定期間経過後に権利が消滅するものも存在します。所持している口座がそういったものに該当していないかを、金融機関に確認しておくと安心です。
出典
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 放置したままの口座はありませんか? 10年たつと「休眠預金」に。
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー