更新日: 2019.01.11 相続税
遺産分割の前にやっておくことは?いざ、「遺産相続」というときに必要な4つのこと
しかし、実際に「遺産相続する」場面では、相続を進めるために必要な作業や手続きだけでなく、残された遺族が新たな生活をする手続きなども必要になってきます。
今回は、「相続を行うときに必要なこと」を整理してみたいと思います。
Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
遺産分割の前にやっておくこと
【1】まずは、必要なお金を確保する
相続をするような事態が発生すると、亡くなった方の銀行などの口座が凍結されます。当面、葬儀費用のほかに各種手続きなどの立て替えなど、それなりのお金が必要になってきます。
一般的には、香典と貯金でまかないますが、最近では家族葬や直葬なども増え、香典があてにできないことが考えられます。また、「遺産分割協議」をもって、銀行口座の凍結解除を待つ方法もありますが、時間がかかることも。
このような場合は、生命保険により、現金を確保すると、比較的早く準備ができます。手続きに不備がなければ、通常5営業日程度で振り込まれますので、早めに請求するとよいでしょう。
【2】相続を開始する前に確認しておくこと
相続を具体的に開始するためには、「相続人および相続財産の確定」「遺言書の有無の確認」が必要です。
「相続人および相続財産の確定」に必要な相続人の特定は、被相続人(亡くなった方)の出生時からの戸籍が必要になります。本籍地の市区町村の役場で請求することになりますが、遠方の場合は、郵送で依頼することも可能です。
次に、相続財産の確定です。預金通帳や有価証券の確認、登記事項証明書の取り寄せなど相続財産のすべてを時価で評価し、財産目録を作成します。
「遺言書の有無の確認」は、被相続人が存在を明かしていない場合でも、きちんと確認をするようにしましょう。公正証書遺言の場合は、どこの公正役場でも検索するシステムがあるので、近くの役場に行って確認します。自筆証書遺言の場合、生前に存在を知らされていないこともあるので、知人や親しかった人にたずねるなどして探してみます。相続人全員が存在有無について納得するようにした方がよいでしょう。
遺産分割とその後の生活の手続き
【3】遺産分割
遺言書がある場合には、遺言に従って遺産分割をします。遺言がない場合、または遺言書に指定されていない部分がある場合は、相続人全員で遺産分割を話し合うことになります。
その際には、民法で決められている相続財産のわけ方の一応の基準となる相続割合(法定相続分)がありますので、これを参考に話し合いましょう。
話し合いの結果、合意ができれば、「遺産分割協議書」を作って遺産分割協議は終了です。どうしても話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所へ調停を申し立てすることになります。
【4】新たな生活へ移行するための手続き
残された遺族が新たな生活へ移行するには、社会保険関連の手続きとライフラインの継承が必要になります。
社会保険関連では、公的年金、遺族年金の手続きや故人の健康保険証の返還が必要です。ライフラインの継承としては、公共料金や固定電話など家庭のインフラに関する名義変更が必要です。
また、故人のクレジットカード、運転免許証、パスポートなどの解約、返却などを行う必要がありますので、一覧表などを作成して効率的に手続きを行いましょう。
以上、いざ、「遺産を相続する」というときに、必要なことを4つにわけて整理しました。
しかし、すべてを当事者だけで対処するのはかなり大変なことです。弁護士や税理士などの専門家に相談し、スムーズに新たな生活へ移行できるようにするのもひとつの方法です。
Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー