【2023年4月以降も延長予定】子どもや孫への「教育・子育て資金」の非課税枠はどのくらい?
配信日: 2023.02.24

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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教育資金の一括贈与とは?
教育資金の一括贈与は、30歳未満の子どもや孫などに、学校などに直接支払う費用(入学金・給食費など)と、学校以外に直接支払う費用(塾費用・習い事費用など)の教育資金として、1人当たり1500万円まで非課税で一括して贈与できる制度です。
総額1500万円のうち、直接支払う費用は1500万円まで非課税ですが、学校以外に支払う費用は500万円まで非課税と、非課税になる範囲が違うので注意が必要です。
申込む時には金融機関に「教育資金非課税申告書」の提出などの手続きが必要です。この制度は、令和8年3月31日まで3年間延長される予定です。
結婚・子育て資金の一括贈与とは?
結婚・子育て資金の贈与は、両親や祖父母等から18歳から49歳までの子ども・孫などに結婚・子育て資金を一括して贈与する場合に、子ども・孫などに1人あたり1000万円までを非課税とする制度です。(※総額1000万円のうち、結婚関係の費用は300万円までが限度です)
18歳以上の子ども・孫などの名義で専用口座を金融機関に開設し、贈与された資金が入った専用口座から払い出したお金が結婚・子育て資金にあてられたことを金融機関が領収書などにより確認・記録し、保存します。この制度は、2年延長される予定です。
贈与する側・される側での注意点は?
贈与する側・される側の注意点としては、主に以下のようなことがあげられます。
<贈与する側の注意点>
●一括贈与に利用できる口座は子ども・孫1人につき1口座しか開設できません。
●祖父母からだけでなく、直系尊属(祖父母、父母、養父母からの贈与)が対象となります。叔父・叔母や兄弟からの贈与は対象外です。
●配偶者の直系尊属は含まれません(養子縁組による親族関係がある場合を除く)
●贈与をする日の前年の子ども・孫(贈与される人)の所得税の合計所得金額が1,000 万円を超える場合には、非課税制度の適用を受けることができません。
<贈与される側の注意点>
●贈与した人が死亡した時に、贈与された人の口座に「教育資金」・「結婚・子育て資金」の支払いにあてられていなかった残額がある場合、贈与した人から相続または遺贈されたものとみなされ、相続税の課税対象となります。
●「贈与される人が30歳になった時に、口座残高がある場合」または「30歳以下で口座残高があるが、教育資金口座の使用を終了させる時」に該当し、口座残高が110万円を超えていると、教育資金口座の残高に贈与税がかかってしまいます。
結婚・子育て資金の贈与の場合も「受け取る人が50歳になった時」と「専用口座の使用を終了させる時」に口座残高が110万円以上あると、教育資金口座の場合と同じく贈与税がかかります。
<試算例>
口座の残高が450万円の場合(図表1の「特例税率」を使用します。)
贈与税基礎控除後の課税対象額 450万円-基礎控除110万円=340万円(課税対象額)
贈与税額の計算 340万円×税率15%-控除10万円=41万円(贈与税として支払う金額)
図表1
基礎控除後の課税価格 | 200万円 以下 |
400万円 以下 |
600万円 以下 |
1000万円 以下 |
1500万円 以下 |
3000万円 以下 |
4500万円 以下 |
4500万円 超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ‐ | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
国税庁 贈与税の計算と税率 <特例贈与財産用>(特例税率)を基に作成
まとめ
高額な教育資金・結婚子育て資金を、子ども・孫の両親だけで準備しづらい場合に有効な制度です。また、ある程度まとまった金額を非課税で一括贈与できるのもメリットです。有効に使ってもらえるように、事前に子ども・孫の両親と話し合うことをおすすめします。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 教育資金非課税申告の手続
内閣府 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
内閣府 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部