更新日: 2023.02.13 相続税

相続税の申告、期限の10ヶ月までに納税できなかったらどうなる?

相続税の申告、期限の10ヶ月までに納税できなかったらどうなる?
相続税の申告・納税の期限は10ヶ月と意外に短いため「期限までに相続手続きが終わるかしら」「納税するのに現金が足りなかったらどうしよう」と不安になる人もいるでしょう。
 
結論からいうと、相続税の申告・納税が遅れると一定のペナルティーがあります。
 
本記事では、相続税の申告・納税が遅れた場合にどうなるのか、また納税が難しい場合の対処法をまとめました。相続時の負担を少しでも軽減できるように、詳細を確認しておきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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相続税を期限までに申告・納税しないと延滞税・加算税がかかる

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日(一般的には死亡した日)の翌日から10ヶ月です。申告期限までに被相続人の住所地の所轄税務署に申告を行い、納税しなければなりません。
 
申告期限までに相続税の申告・納税を行わない場合は、ペナルティーとして、本来納めるべき相続税に加えて延滞税や加算税が課せられるため注意しましょう。
 
なお、仮に遺産分割協議が終わっていない場合、いったん法定相続分で分けたとして相続税の申告をする必要があります。
 

延滞税とは

延滞税は、納期限までに税金が納付されない場合に、納期限の翌日から納税されるまでの経過日数に応じて課される、利息に当たる税金です。延滞税が発生するのは、次のようなケースです。
 

●申告で確定した税額を納期限までに納めない場合
●期限後申告や修正申告の結果、納付するべき税額がある場合
●更正や決定の処分を受け、納付するべき税額がある場合

 
なお、延滞税の割合は、原則として次のように定められています。
 

【納期限翌日から2ヶ月経過まで】

年7.3% (※令和4年1月1日~12月31日の場合は年2.4%)

 

【納期限翌日から2ヶ月経過以後】

年14.6%(※令和4年1月1日~12月31日の場合は年8.7%)

 
期限内に相続税を完納できない場合も、早く納付するほど延滞税の負担を抑えられます。
 

加算税とは

加算税は、正当な理由がないのに期限内に申告書を提出しなかった場合などに、本来の税額に加えて課される税金です。
 
正当な理由とは、例えば、災害、やむを得ない事情で交通や通信ができない場合などが該当します。相続人間のトラブルで期限内に遺産分割ができなかったケースなどは、当てはまらないため注意しましょう。
 
無申告による加算税の税率は、原則次のように定められています。
 

●納付するべき税額のうち50万円までの部分:15%
●納付するべき税額のうち50万円を超える部分:20%

 
ただし、法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告を行った場合は、無申告加算税は5%に軽減されます。また、正当な理由があったと認められる場合、期限後申告を期限から1ヶ月内に行うと、無申告加算税はかかりません。
 
納税の負担を増やさないためには、申告の遅れや漏れがある場合にも、できるだけ早く申告書を提出し、納税することが大切です。
 

相続税の期限内の一括納付が困難なときは延納・物納が選択できる

相続税は原則として、現金で一括納付する必要があります。しかし、遺産の額は大きいのに現金資産が少ない場合などには、納税するべき税額を現金で用意するのが難しいケースもあるでしょう。
 
現金での一括納付が困難なときは、代替手段として「延納」または「物納」を選択できることがあります。相続税の延納・物納の詳細や要件は、それぞれ以下のとおりです。
 

相続税の延納とは

相続税の延納とは、相続税額のうち納付困難な金額を上限に、年譜で納付できる制度です。
 
ただし、延納を利用するには、担保(各種債券、土地、保証人の保証など)の提供と延納期間中の利子税の納付が必要です。
 
延納を利用できるのは、次の要件をすべて満たしている場合です。
 

●相続税額が10万円超
●金銭での納付が困難な事由があり納付困難な金額の範囲内である
●延納税額および利子税の金額相当の担保を提供する(延納税額100万円以下かつ延納期間3年以下は不要)

 
また、延納を利用するには、原則として相続税の納期限までに、担保提供関係書類を添付した延納申請書を税務署に提出する必要があります。
 

相続税の物納とは

相続税の物納とは、延納を利用しても金銭での納税が困難な事情がある場合に、納付困難な金額を限度に、金銭以外の一定の相続財産により納税する方法です。物納を利用できるのは、次の要件をすべて満たしているケースです。
 

●延納を利用しても金銭での納付が困難な事由があり、納付困難な金額を限度としている
●物納申請財産の所在が日本国内のものである

 
また、物納申請財産は相続税額の計算の基礎となった相続財産のうち、次のものである必要があります。(カッコ内数字は優先順位)
 

●不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式など…(1)
●非上場株式など…(2)
●動産…(3)日

 
ただし、上記に該当しても、担保が設定されている不動産など、一定の状態にあるものは物納申請財産として認められません。
 
なお、物納を利用するには、原則として相続税の納期限までに、物納手続関係書類を添付した物納申請書を税務署に提出する必要があります。
 

相続税を期限内に納めないと負担が重くなる

相続税の申告・納税期限までに相続税を納税できない場合、本来の税額に加えて延滞税や加算税が課されます。期限を長く超過するほど上乗せされる税金の負担は重くなるため、相続税の申告や納税はできるだけ早く行いましょう。
 
金銭的な事情で相続税の納税が難しい場合は、年譜で支払う延納や、現金以外の財産を納める物納の制度を利用できる可能性があります。
 
納税しないまま放置せず、税務署などで対応を相談するとよいでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4205 相続税の申告と納税

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.9205 延滞税について

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)よりNo.2024 確定申告を忘れたとき

国税庁 相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4211 相続税の延納

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4214 相続税の物納

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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