相続が「争続」にならないためにも、万が一トラブルになった場合にできる対策について紹介します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続のトラブルはプロへの依頼も選択肢
相続が発生したときに当事者となるのは、被相続人(亡くなった人)の法定相続人をはじめとした、残された人たちです。
相続の遺産分割で対象となるのは、基本的には被相続人からみて近い身内である、法定相続人です。しかし、遺言書がある場合や生前贈与がされていた場合には、必ずしも法定相続人だけが当事者になるとは限りません。
このように、相続には被相続人を取り巻く環境などによって平穏に終わる場合だけでなく、トラブルに発展する場合もあります。
相続のトラブルに関してプロに相談するなら、専門家として弁護士への依頼がよいでしょう。相談だけでなく、実際に法的手段を依頼する場合も想定し、法律の専門家である弁護士に早めに相談するのも、争続回避の手段の1つです。
争続から抜け出す3つの方法とは
相続が発生したときに、相続人が選べる方法として「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つがあります。
単純承認と限定承認は、いずれも被相続人の財産の全て、または一部を相続する方法ですが、相続放棄は全てを放棄します。限定承認と相続放棄に関しては、家庭裁判所へその旨の申述が必要です。
争続を回避するための3つの方法
単純承認をはじめ、「もめない相続」であればよいですが、相続人の間でもめ事が生じた場合には、なるべく早く解決したいものです。
前述のように、弁護士へ依頼して解決を任せるのも1つの方法ですが、ほかの方法として、以下の3つがあります。
・相続放棄
・本来相続するはずの相続分を放棄する
・本来相続するはずの相続分を譲渡する
相続放棄は、最初から相続がなかったものとする(法定相続人ではなくなる)手続きです。家庭裁判所への申述により手続きを行います。
本来相続するはずの相続分の放棄は、自身に発生した権利を放棄することです。相続分を放棄することで、遺産分割協議に関係しなくてよくなるメリットがあります。
一方、相続放棄と違い、法定相続人の立場に変わりはないため、負の財産が大きい場合にはデメリットを被る場合もあります。したがって、相続が発生した時点の遺産によっては、相続放棄をした方がよい場合もあります。
本来相続するはずの相続分の譲渡は、自身に発生した権利をほかの相続人へ譲渡することで、相続分の放棄と同じく、遺産分割協議におけるもめ事からは抜け出せます。
一方、こちらも相続放棄とは違い、法定相続人としての立場は維持されるため、負の遺産が大きい場合には負債を背負うこともあります。
この3つのいずれを選ぶかについては、相続が発生した時点における遺産状況についてや、もめている内容について、しっかり検討した上で決めるとよいでしょう。
最も有効な手だては相続放棄ですが、家庭裁判所での手続きが必要なため、費用や時間がかかります。相続分の放棄や譲渡は、相続人の間で取り決めるだけでよいため、時間や費用もかかりません。もっとも、その後のトラブルを防ぐためには、書面等に残す形で取り決めをしておく方がよいでしょう。
まとめ
相続が争続になると、精神的にも肉体的にも疲れ果ててしまいます。被相続人である故人のためにも、早く終わらせたいと思う反面、どうしてよいかわからない人も多いでしょう。
相続に関する相談先は弁護士ですが、自身で進めたい場合には、相続放棄を家庭裁判所へ申述しましょう。ほかにも、相続分の放棄や譲渡という方法もあります。
相続時点での遺産状況や、具体的にどの点についてもめているのかも考慮し、自身にとって最も負担の少ない方法を選ぶとよいでしょう。
出典
最高裁判所 相続の放棄の申述
最高裁判所 遺産分割Q&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部