更新日: 2020.02.22 その他相続
自分が亡くなった後、自宅はどうなる?住まいの終活で考えられる4つの選択肢
一般的には、土地や建物を所有する方が亡くなると、相続人がその不動産を引き継ぐことになります。しかし、所有する自宅や不動産について「何らかの希望」がある場合は、自身が亡くなった後の選択肢を知っておくことで、納得できる終活に近づけるかもしれません。
住まいの終活で考えられる4つの選択肢と注意したい点などについて、お伝えします。
執筆者:中田真(なかだ まこと)
CFP(R)認定者、終活アドバイザー
中田FP事務所 代表
NPO法人ら・し・さ 正会員
株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師
給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP(R)資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
https://nakada-fp.com/
相続させる
1つ目の選択肢は「相続」です。通常では相続が発生すると、遺言書がなければ相続人が民法で規定されている法定相続分の割合で財産(遺産)を分割することになります。ただし、相続人全員の合意があれば、民法で規定されている法定相続分の割合ではなく、自由な割合で財産(遺産)を分割すること(協議分割)ができます。
【注意したい点】
・相続人が複数いる場合、相続する財産が預貯金であれば、相続人で均等に分けることができるが、不動産では、預貯金のように簡単に分けることができない場合がある
相続人間の関係が必ずしも良好とは限りません。特に、相続人が配偶者と被相続人(自宅や不動産の所有者)の父母、兄弟姉妹などの場合は複雑なケースが多いです。
相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹のケースでは、すでに亡くなっている兄弟姉妹がいると、その兄弟姉妹の子ども(甥、姪)も相続人となります。そのため、相続人間の関係が良好か否かという問題だけではなく、ほとんど会ったことがない、どこに住んでいるのか分からないといった問題が発生することもあります。
売却する
2つ目の選択肢は「売却する」です。相続人が1人の場合は特に問題ありませんが、複数いる場合は、相続発生後にその不動産が「共有不動産」(所有者が複数いる不動産)となるケースがあります。
【注意したい点】
・共有不動産の全部を売却したい場合は、共有者(所有者)全員の同意が必要になる
・不動産は流動性が低いため、すぐに現金化できない場合がある
・売却後の(配偶者などの)生活場所(どこに住むのかなど)
賃貸物件にする
3つ目の選択肢は「賃貸物件にする」です。賃貸物件として賃貸収入を得ることができますが、注意したい点もあります。
【注意したい点】
・管理の問題(誰が管理するのかなど)
・共有不動産の場合は、権利の問題(賃貸収入の分配割合や方法など)
・賃貸物件にした後の(配偶者などの)生活場所(どこに住むのかなど)
二世帯住宅にする
4つ目の選択肢は「二世帯住宅にする」です。配偶者、子どもがいる場合は二世帯住宅にする選択肢もありますが、注意したい点もあります。
【注意したい点】
・工事が必要な場合の費用負担など(工事費用、工事中の住まい確保など)
・相続人が複数いる場合は、トラブルになる可能性も(権利の問題、親世帯が亡くなった後の相続トラブルなど)
まとめ
自分(自宅や不動産の所有者)が亡くなったときに、何が起こるのか、起こる可能性があるのかについて知っておくことは、住まいの終活で重要になってきます。最善な方法を選択するために、住まいの終活で考えられる4つの選択肢が参考になれば幸いです。
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー