更新日: 2019.11.12 その他相続

相続の一つ、限定承認にはどんなメリットがある? 注意点とともに解説

執筆者 : 岡田文徳

相続の一つ、限定承認にはどんなメリットがある? 注意点とともに解説
相続が発生したときに、限定承認という方法を選択することができます。しかし、気をつけるべきところが数多くあります。しっかり理解して上で行いましょう。
 

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岡田文徳

執筆者:岡田文徳(おかだふみのり)

認知症大家対策アドバイザー

人生100年時代を生き抜くために大家さんの認知症対策と不動産賃貸経営のサポートを行なっている。

祖父が認知症になり、お金が下ろせない、賃貸業はストップ、収益の出ない物件を買わされそうになる。

祖父の死後、両親と認知症対策を行い、自ら賃貸経営ノウハウや人脈を構築し、日々改善している。

現在は、大家さん向けにセミナーやコンサルティングを行なっています。

相続が発生したときの選択肢は3種類

相続が発生したときには、実は選択肢が3種類あります。
・単純承認
・相続放棄
・限定承認

です。
 
単純承認は、本人の資産状況、債務状況のどちらも合わせて相続することを意味します。相続が発生してから何もしなかった場合には、単純承認になります。
 
相続放棄は、本人の資産状況、債務状況のどちらも受け取らないことを意味します。相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。相続放棄は、相続人1人でも行うことができます。
 
親族の話し合いで、「相続放棄するから」と話している人がいたとしても、それは、相続人の間で遺産分割協議を行ったときに「遺産はいらない」と言う場合であり、法律上の相続放棄を行う場合とは異なりますので、注意が必要です。勘違いをされている人が多く見受けられます。
 
相続において、話題に上ることが単純承認と相続放棄です。限定承認というものがありますが、ほぼ知られていません。
 

限定承認とは……

「債務の額は分からないけれど、もしかしたら資産が残るかもしれない」と感じた場合、限定承認が有効かもしれません。資産のほうが多ければ、債務を全て支払った上で、残った分をもらう。債務のほうが多ければ、資産を債務返済のために充てる。残りの債務は引き継がない。ということができます。
 
例えば、
預貯金が500万円、債務が300万円であった場合、債務を支払い、残る200万円を相続することになります(弁護士等の専門家への費用は、別途かかります)。
 
預貯金が500万円、債務が800万円であった場合、資産を債務返済に充てると資産が残りませんので、0円です(弁護士等の専門家への費用は、別途かかります)。
 
なぜかは分からないけれど、良いイメージがありそうな限定承認ではありますが、気をつけなければならないこともあります。
 

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限定承認で気をつけるべきこと

限定承認で気をつけるべきこと

(1)件数が少ない

少し古いデータになりますが、平成19年度では、
亡くなった人の数:110万8334人
限定承認は、1013件
相続放棄は、15万49件
限定承認、相続放棄以外が単純承認であると考えれば、限定承認は明らかに少ないと言えるでしょう。

(2)専門家が少ない

限定承認の件数が少ないので、限定承認を取り扱ったことがある専門家も少ないでしょう。そして、手続きが煩雑であるということもあり、専門家側から限定承認を選択しないようアドバイスしているのも要因の1つかもしれません。

(3)相続人全員で行う。

限定承認は、相続人全員が全会一致で行わなければなりません。相続放棄は1人でも行うことができましたので、大きく異なるところであると言えるでしょう。相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に、相続人全員が全会一致で限定承認を選択することができる状況であればよいのですが……。

(4)みなし譲渡所得に対する税金

単純承認の場合には、資産も負債もそのまま相続人に相続されることになります。名前が変わっただけというイメージでよいでしょう。しかし、限定承認の場合には、みなし譲渡所得に対する税金がかかる場合があります。
 
例えば、譲渡価格:2000万円、債務500万円であった場合、1500万円を相続できるかというとそういうわけにはいきません。
 
不動産購入価格:1500万円であった場合、2000万円-1500万円=500万円がみなし譲渡所得として、課税されます。税率は、長期譲渡所得、短期譲渡所得によって、変わります。思ってもいないところで、税金がかかるということがあります。
 
まとめると、
・相続が発生したときには、3種類の選択肢がある。
・限定承認を行う場合には、気をつける。

最終的なご判断は弁護士や税理士などに相談の上行ってください。
 
出典
裁判所HP「相続の限定承認の申述」
家事審判・調停事件の事件別
厚生労働省HP「第1表 人口動態総覧」
 
執筆者:岡田文徳
認知症大家対策アドバイザー