更新日: 2019.10.08 相続税

相続には一次相続と二次相続がある

相続には一次相続と二次相続がある
「うちはお金がないから、相続税はかからないよ」とか「おやじの時にもかからなかったから、大丈夫」とか。相続に対しての認識が甘く、なかにはヒヤヒヤすることを言う方がいらっしゃいます。
 
準備をしておけば、せめて事前に相談する窓口を探しておけば、慌てて損することはなかったのに。そんな事例は山ほどあるのです。亡くなる方がいない家はありません。相続税対策はお済みでしょうか?
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

相続には一次相続と二次相続がある

相続税対策をする際に考えていただきたいのが「一次相続」の対策なのか、「二次相続」の対策なのか、これから行う相続はどちらかなのです。ここには、1億円を超える大きな壁があります。
 

 
【一次相続】
夫婦のうち、どちらかが先に亡くなった場合。相続人は、「配偶者」+「子・または親・兄弟姉妹・代襲相続」
 
【二次相続】
配偶者に先立たれ、夫婦のうち後に残った方が亡くなった場合。相続人は「子」または
「子・または親・兄弟姉妹・代襲相続」
 
上記のようになります。
なぜ、先に亡くなった場合と後から亡くなった場合に「1億を超える壁」があるのでしょうか? それは相続税の基礎控除に『配偶者の税額の減額』という特例があるからなのです。ここは、相続税対策の重要なポイントになりますから、注意をしてください。

相続税の基礎控除

相続した財産すべてに、相続税が必要なわけではありません。他の税金でもあるように「相続税の基礎控除」というものがあり、個人の財産をある程度は守ってくれます。
 
【相続の基礎控除】方程式
3000万円 +(600万円 × 法定相続人)= 相続税の基礎控除額
 
上記は、一次相続・二次相続ともに適用する方程式です。
*法定相続人とは、法律で定めた相続人のこと
詳しくは過去のコラム「なぜ? あんなにも揉める? 世間をにぎわしている【相続】」をご覧ください(※1)。
 

 
相続順位が高い人から順番に考えます。
相続人を考える時、上記を参考に下記の箱に入れてみてください。

 
~例:父の相続(一次相続)~
相続人 → 母(配偶者)・長男・次男・三男 =相続人4人
 
~例:母の相続(二次相続)~
相続人 → 長男・次男・三男 =相続3人
 
※多くの場合は二次相続で法定相続人の家族が減りますが例外もあります。
~例外:二次相続前に長男が病気で死亡。代襲相続が発生~
 
【代襲相続】とは
相続人が被相続人(相続財産を残した人)より先に亡くなった場合、その相続人の子・孫へと引き継ぐこと。下へ下へと引き継がれます。親がすでに亡くなっている場合には、祖父母・曾祖父母と、上へ上へと引き継がれます。
 
なお、兄弟姉妹の場合も代襲相続はありますが、一代限りとなります。
相続人 → 長男の代襲相続(A男・B子・C助)・次男・三男=5人
※代襲相続が発生すると、一次相続より、相続人の人数が増える場合もあります。

相続税「配偶者控除」

「基礎控除」に加えて、一次相続の際には「配偶者の税額軽減」という控除特例があります。これは、“夫婦一体”のという意味合いから、配偶者の生活を守るためにある処置です。
 
【配偶者の税額の軽減】
1:1億6000万円
2:法定相続分相当額
 
相続財産が上記のいずれか多いほうの金額以下である場合に、相続税はかかりません。
 
この、一般的に「配偶者控除」と呼称されている「配偶者の税額の軽減」は、相続税の計算の際にとても大きな割合をしめます。
 
ですから、「一次相続」と「二次相続」の際は、相続税の計算となる「相続の評価額」が大きくなってしまうのです。

相続税を計算してくれる人 税理士の見極めがポイント

相続税の申告をする際に、相続税の計算をしなくてはなりません。遺産分割協議による相続の案分によって、相続人一人ひとりの納税額の計算も必要です。
 
個人で申告することも可能ですが、少しでも複雑な要素がある場合は、専門家(税理士)に依頼することが得策です。
 
よく「会社の税理士に頼む」とか「知人の会社の顧問税理士へ依頼する」という方がいますが、果たしてそれでよいのでしょうか?
 
相続の際は、相続に強い税理士に依頼することが大切です。理由は、税理士資格を得る際に、「相続」科目は、必須科目ではないから。
 
税理士になるには、「所得税法」「法人税法」の他に、「消費税法または酒税法」「国税微収法」「住民税または事業税」「固定資産税」「相続税法」の中から1つ、計3つの科目に合格することが必要です。
 
特に「相続税法」は単位数が多く、難しく、覚えることも多いので、嫌厭される科目だとか。税理士の方が皆、「相続税法」を詳しく学んでいるわけではないのです。
 
相続税の計算しだいによって、相続税は大きく変わります。また、事前の対策も必要です。終活カウンセラーや相続診断士にまずは相談し、整理すべきことは整理し、信頼のおける税理士の紹介を受けましょう。ポイントは税理士選びです。
 
(※1)
ファイナンシャルフィールド「なぜ? あんなにも揉める? 世間をにぎわしている【相続】」
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士

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