更新日: 2019.06.28 相続税

相続税の節税対策で不動産経営を始めることは本当に有効なのか

執筆者 : 宮路幸人

相続税の節税対策で不動産経営を始めることは本当に有効なのか
最近は若干落ち着きを見せ始めてはいるものの、現在も賃貸用アパートが建設され続けています。
 
平成27年の相続税法の改正等もあり、相続税の節税対策のため、大手サブリース会社を利用して不動産経営を始める人も多くいます。
 
これらは節税対策に本当に有効なのでしょうか。そして、賃貸経営は将来的に問題ないのでしょうか、確認してみましょう。
 

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宮路幸人

執筆者:宮路幸人(みやじ ゆきひと)

税理士・AFP その他宅建、マンション管理士資格保有

不動産・相続に強みがあります。会計事務所勤務が長く実務経験が豊富です。フットワ-クが軽くお客様のニーズに応えるよう日々努力しております。また離島支援活動も積極的に行っております。

賃貸物件購入は相続税対策には有効である

相続税の財産評価でよく言われるのが、現金1億円は相続税評価額も1億円となるが、土地1億円を購入すると、相続税評価額については路線価で評価した場合、時価のおおむね8割程度の8000万円となる、ということです。土地を購入しただけで、いわば2000万円の財産が評価減されたこととなります。
 
また、この土地の上に建物を建てて貸した場合は、さらに貸家建付地として土地の評価減を受けることができます。
 
建物については、購入した場合は固定資産税評価額が相続税評価額となり、建物の構造などにより違いはあるものの、建物の購入価額のおおむね5~7割程度の額が固定資産税評価額となります。このように、ただ建物を建てるだけで財産の評価額を圧縮できるのです。また、これを貸した場合は、さらに貸家として建物の評価減を受けられます。
 
土地建物の購入は、財産の圧縮効果という点で有効な手法であるのは確かです。また、相続税法の改正により、相続税申告義務者が増加する運びとなったため、近年は大手サブリース会社がこぞって相続税評価額を圧縮できるとのセールストークで営業をかけています。そのため、サブリース会社を利用した賃貸物件が、大幅に増加することとなりました。
 

相続税対策には非常に有効なサブリースに係る賃貸経営であるが、賃貸経営については問題点ないのか?

サブリース物件のオーナーとなる人は、相続税対策に加え、老後の生活資金として年金のほかに賃貸収入を得ることを目的として、購入に踏み切る人が多くいます。
 
「自己資金がなくても、土地を担保に建物のオーナ-になることが可能」「家賃収入はサブリース会社が保証するので、借入を返済しながら家賃収入も得ることができる」と勧められるからでもあるでしょう。
 
そうした言葉を信じて購入した場合の、メリットとデメリットについて検証してみましょう。
 

1.サブリースのメリット

(1)自己管理に比べ管理に手間がかからない(サブリース会社がすべてやってくれる)
(2)毎月決まった賃料収入が得られる
 

2.サブリースのデメリット

 (1)サブリース会社に管理手数料を支払うこととなる
 (2)賃料見直しによる賃料引き下げのリスクがある
 (3)賃料が減額された場合、借入返済不能になる可能性も…
 
サブリースのメリットは、何といっても管理が楽という点です。募集から入金まで賃貸物件の面倒を見てもらえるため、オーナ-は基本的に何もせずに家賃収入を得ることができます。副業として行うことができる点も、魅力でしょう。
 
一方、デメリットとしては、管理を任せるので一定の手数料をサブリース会社に支払わなくてはならない点が挙げられます。
 
そして、もっとも怖いのは、サブリース会社の家賃保証はずっと一定額を約束するものではないということです。空室率が上昇したときや、賃貸物件が古くなってきた場合などは、賃料の減額を一方的に要請される可能性があります。
 
家賃保証というと、ずっと同じ賃料が入ってくるものと思ってしまいがちですが、一定年数ごとに家賃の見直しが行われます。
 
一般的に建物が古くなると賃料が下がっていくため、これを考慮しておかないと、賃料が減額された場合、借入返済が滞り土地建物が差し押さえられる可能性もあります。
 
また、建物は老朽化するため、将来的に大規模修繕が必要になり、まとまった費用を用意しなければならなくなる場合も少なくありません。「賃貸物件を購入したはいいが、資金が行き詰まり、土地建物を差し押さえられた」というのでは、相続税対策以前の問題となってしまいます。注意が必要です。
 
以上、サブリース経営のメリット、デメリットについて簡単に確認してみました。
 
サブリースは相続税対策には有効です。しかし、賃貸物件がここまで増加してくると、立地などが良くない場合、賃貸経営的なリスクも多くなるということを忘れないようにしてください。
 
執筆者:宮路幸人(みやじ ゆきひと)
税理士・AFP その他宅建、マンション管理士資格保有
 

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