更新日: 2019.06.12 贈与

生前贈与しても贈与税がかからない特例は6つ!それぞれの解説と注意点

生前贈与しても贈与税がかからない特例は6つ!それぞれの解説と注意点
非課税制度を使って早めの対策を
 
福本眞也

執筆者:福本眞也(ふくもと しんや)

FPコンシェル代表取締役

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP® 認定者、証券外務員
できる限り解り易い言葉で、お一人お一人のご理解にあわせてご説明することをモットーにしています。
 
日系証券会社(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)で約8年間金融の基礎を学び、外資系投資銀行(TDグループ、NAB、クレディ・スイス、JPモルガン証券)では約15年間に渡り高度な金融技術を学び、独立して約9年、金融一筋に32年が経ちました。
 
「お金・経済・金融マーケットに関わること」について、特に個人顧客向けには住宅・保険・教育・老後の資金(運用)を目的としたご相談を得意としています。
http://www.fpconcier.com

生前贈与非課税特例の利用

生前贈与。字のごとく、生きている間に財産を贈与することですが、単純に金品や不動産を贈与してしまうと、その金額や時価評価額により課税されてしまいます。
 
いくつかの特例を利用すれば非課税となりますので、上手に活用して効率的な贈与を検討しましょう。
 

6種類の非課税の特例

現在、贈与をしても税金がかからない特例が6つあります(障害者への贈与は除く)。
 
(1)基礎控除:ひとりの人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた合計額が110万円までは非課税です。超えると、その超えた額に応じて課税されます。
 
(2)相続時精算課税の特例:親が60歳以上で、贈与を受ける子か孫が20歳以上であれば、その贈与額が2500万円までは非課税です。超えた額は一律20%が課税されます。
 
(3)住宅取得資金贈与の特例:親もしくは祖父母から居住用住宅を購入する際に受けた資金で対象住居が省エネ等住宅であれば、消費税8%の間は1200万円、消費税10%になれば3000万円までは非課税です。
 
(注)住宅の売買契約年月と省エネ等住宅か、その他住宅かにより非課税額が異なりますので詳細は下図をご参照ください。

 
(4)教育資金贈与の特例:子や孫が30歳未満で、贈与された資金が教育資金として使われるのであれば1500万円まで非課税です(本年3月31日まで)。
 
ただし、基本的には信託銀行など教育資金信託専用口座を開設し、入学金・授業料・給食費など教育費として費やしたと認められること、また領収書など記録を残すことが条件となります。30歳を超えて使う場合には、30歳到達時点での残額に贈与税が課せられます。
 
(5)結婚・子育て資金贈与の特例:親から贈与を受ける子や孫が20歳以上49歳以下で、その贈与された資金が結婚や子育てのために使う費用であれば1000万円までは非課税です(本年3月31日まで)。結婚費用としては結婚式代、結納や住居の引越し代など、子育て資金としては出産・不妊治療・子どもの医療費が対象となります。
 
(6)夫婦間贈与の特例:婚姻期間が20年超であれば居住用不動産の贈与に際し、2000万円まで非課税です。
 

注意も必要

(1)の基礎控除を利用した贈与を継続的に長年に渡り毎年行った場合、税務署は元々ある多額の資金を分割して贈与したものと見なし贈与税を課すこともあると聞きます。
 
この点については、税理士により見解が異なります。少しだけ基礎控除額を超えて贈与する、たとえば111万円を贈与すると1万円の超過分に贈与税(10%)が1000円かかり、これを納税することで生前に贈与を適正に行っていたことの証明になるという意見もあれば、そこまでしなくても、毎年贈与契約書が交わされていれば問題ないとする見解もあります。
 
大切なのは「あげた・もらった」の贈与契約書を書面で交わし、適正に行っていたことを証明できるようにすることです。
 
(2)の相続時精算課税は、実行のタイミングがたいへん重要になります。贈与対象物の評価額が、将来値上がりする可能性が高い場合には、この制度を利用した時点で実質低い評価をされるので有効ですが、反対に将来値下がりする可能性の高いものには、この制度を利用した時点での実質評価が高くなりかえってマイナスになります。
 
また、相続時精算課税を利用すると(1)の基礎控除が使えず、いわゆる暦年贈与ができなくなりますし、実際の相続時には遡って課税対象となります。
 
(3)の特例も、税務署への申告が必要です((1)の基礎控除内の贈与を除く)。

まとめ

子どもや孫がいるなら(3)住宅購入資金、(4)教育資金、(5)子育て資金として、まとまった金額を贈与することが可能です。(4)と(5)に関しては、今年の3月末までの特例なので早めの決断と実行が必要ですが、相当額をまとめて非課税で贈与できる手法として検討・実行する価値はあると思います。
 
出典
※国税庁「直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税」
 
執筆者:福本眞也(ふくもと しんや)
FPコンシェル代表取締役
 

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