更新日: 2019.01.10 相続税
親が亡くなったあと、お金や遺産の整理をしないといけない 知っておきたい相続の流れ
相続の手続きは複雑であり、事前に何の知識もないままスムーズに進めることは困難を極めます。そこで、今回は相続の流れについて、親が亡くなってから相続税の申告・納税までを簡単にご説明します。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
手順(1)死亡届の提出
相続は死亡によって開始します。
そこで、まずは故人の死亡届を提出しておきましょう。提出先は「亡くなった方の死亡地か本籍地」あるいは「実際に届け出る人の住所地」の市町村役場です。
死亡届は死亡の事実を知ってから7日以内に提出しなければなりません。ただし、亡くなった方が国外で亡くなった場合は3ヶ月以内となっています。
手順(2)遺言書の有無を確認
故人が遺言をしていた場合、基本的には遺言の内容にしたがって遺産を分割していきます。
仮に相続人間で遺産分割協議を完了したあとに遺言が見つかった場合、協議のやり直しや相続人間で再度同意の確認など、一定の手続きが必要になることもあります。
「遺言書なんてうちの親は作ってないだろう。」と考えるのではなく、必ず遺言書の有無を確認するようにしてください。そして、遺言が発見されたときは、遺言書の種類に応じて検認など必要な手続きを進めましょう。
手順(3)相続人の確定と調査
遺言書の有無を確認したら、次は誰が相続人となるのかを確定します。
相続人の確定は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の確認によって行います。相続人が一人でも欠けている状態で遺産分割の協議をしてしまうと、その協議は無効となってしまうので注意しましょう。
手順④相続財産の調査
どのような財産がどれくらいあるのか確認する作業、相続財産の調査です。
相続対象となる財産とならない財産、プラスの財産とマイナスの財産など、それらすべてを洗い出し、目録(財産目録)を作成しておきます。
銀行や役所を何件も飛び回ることもあり、手間のかかる作業かもしれませんが、後述する相続放棄や相続税の申告などとの兼ね合いもあるため、できるだけ速やかに行うようにしてください。
手順(5)限定承認・相続放棄をするか否か
限定承認(プラスの財産の範囲内においてマイナスの財産を相続すること)と相続放棄(最初から相続人でなかったとみなされること)は自分のために相続があったことを知った日から3ヶ月以内にしなければなりません。
何もしなければ単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も全部相続すること)したとみなされます。
手順(6)相続分の確定
誰がどの遺産をどれだけ相続するか相続人間で遺産分割協議(要するに話し合い)を行い、相続分を確定させます。基本的に遺言があればその内容にしたがって決定しますが、相続人全員の同意など一定の要件を満たすことで、遺言と異なる遺産分割も可能です。
遺産分割する場合には遺留分(亡くなった方の兄弟姉妹を除いた相続人に認められている最低限の相続分)の存在に注意してください。遺留分に反したからと直ちに遺産分割が無効となるわけではありませんが、遺留分減殺請求権の行使などの問題が発生するおそれがあります。
手順(7)相続税の申告と納税
相続税が発生する場合、原則として被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署へ申告し、納税まで完了させる必要があります。
これは被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければならないとされています。相続税が発生しない場合には申告と納税をする必要はありません。
相続の手続きは漏れなく、迅速に
今回はあくまでも相続に関する重要な部分について簡単にご説明しました。
実際にはこれらと並行して葬儀や保険・年金などの手続きも進めていかなければなりません。相続に関する問題を自力で解決するのが難しいと感じたのであれば、速やかに専門家へ相談するようにしてください。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士