最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.07.16
相続

夫から貰ったものを返してと言われた!夫婦間でも書面で残っている贈与については破棄できるって本当?

執筆者 : 柘植輝

夫婦の問題は法律において少々特殊なものとして扱われています。
 
同じ行為であっても、夫婦間における場合とそうでない場合とでは異なる結論が導き出されることがあるのです。
 
そのような例の一つとして贈与(プレゼントと考えてください)があります。
 
たとえば、夫婦の間における愛情表現や感謝の証しとして高価な物をプレゼントするのも珍しいことではないでしょう。
 
しかし、愛情などに基づくプレゼントとはいえ時間の経過やその後の事情などによって、「やっぱり返してほしい・・・」と考えが変わることもあります。そこで、今回は夫婦間における贈与の取り消しについて解説します。
 

 
柘植輝

Text:

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

柘植輝

執筆者:

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

奥さんに宝石をプレゼントしたAさん

Aさんは結婚しており、Bさんという奥さんがいました。
 
ある日、Aさんは感謝の証しとしてBさんへ高価な宝石をプレゼントしました。ところがその後Aさんは気が変わってしまい、Bさんに対し「以前プレゼントした高価な宝石を返してほしい。」とお願いしました。
 
それに対してBさんは「昔のプレゼントを今更返せなんて…。」とAさんの申し出を拒否しました。さて、Aさんは宝石を返してもらうことができるのでしょうか。
 

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通常の贈与であれば撤回ができない

まず、贈与とは次のような意思の合致により成立する契約です。

プレゼントを贈る人「無償で宝石をプレゼントするよ!」プレゼントを受け取る人「ありがとう!宝石をもらいますね!」
 
つまり、無償で自己の財産をプレゼントする意思と、それを受け取る意思が合致することよって成立する契約です。贈与したことを書面に残していない場合は、贈与の意思を撤回することができます。
 
しかし、履行(今回の事例で言えば宝石を渡すこと)が終わってしまった部分については撤回することができないとされています。
 
とするのであれば、今回の事例でAさんは宝石を既にBさんに引き渡しており、履行が完了しているため、贈与を撤回することができず、宝石を返してもらえない。といった結論になりそうです。しかし、そう簡単に結論付けることができないのが夫婦の関係です。
 

Aさんは宝石を返してもらうことができます

結論として、Aさんは宝石を返してもらうことができます。
 
確かに履行は既に終わっており、通常であれば宝石を返してもらうことができません。しかし、今回の事例においてAさんとBさんは夫婦であり、婚姻中です。
 
そのため、民法754条の規定が適用されることとなります。民法754条「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」
 
この条文を簡潔に読み替えると次のようになります。
 
「夫婦の間の契約(今回の事例では贈与)は婚姻中ならいつでも、夫と妻のどちらからでも取り消すことができますよ。でも、他の誰かに迷惑かけてはいけませんよ」
 
この条文が適用されることにより、Aさんは婚姻中であるBさんに対し、既にプレゼントした宝石を返してもらうことができるのです。
 

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婚姻中にした贈与契約は婚姻中に限り取り消すことができます

基本的に婚姻中に行われた贈与契約は、たとえ履行が完了していたとしても、婚姻中に限り夫婦の一方から取り消すことができます。
 
とはいえ、個別の事情によっては取り消しの許されないこともあるうえ、安易な贈与と取り消しはトラブルを招くことにもなりかねないので注意しましょう。夫婦を取り巻く問題は法律によって通常と異なる取り扱いがされることもあります。まさに贈与はその典型例の一つと言えるでしょう。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー