更新日: 2019.08.07 相続税

<相続税対策>知っておきたい相続税額控除。配偶者控除以外にもあります

執筆者 : 黒木達也

<相続税対策>知っておきたい相続税額控除。配偶者控除以外にもあります
相続税の税額控除で最も優遇されているのは配偶者控除ですが、ほかにも税額控除はあります。知っていると相続税申告の際に、節税効果が期待できます。主なものは、未成年者や障害者に対する控除、贈与税を相続3年前まで払ったことで発生する控除、相続して10年以内の再度相続する際の控除などです。これらの控除を知っていると、実際の相続発生時に参考になります。

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黒木達也

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

未成年控除と障害者控除

未成年者と障害者には、相続の際に税額控除があります。未成年が相続する場合、成人が相続する場合に比べて、優遇されています。未成年には支払い能力がないことが多く、親など扶養義務者が代わって支払う事情が背景にあると思われます。障害者についても、その立場を配慮しています。
20歳未満の未成年者の場合、相続が発生したときに、相続時点の年齢から20歳になるまでの年数に、6万円を掛けた金額が控除されます。
例えば、10歳の小学生が相続すると、6万円×(20-10)=60万円、が税額控除されます。
障害者に対しても、同様の控除があります。障害者の人が相続した時点の年齢からから70歳になるまでの残りの年数に、6万円を掛けた金額が控除されます。
例えば、40歳で相続すると、6万円×(70-40)=180万円、が税額控除されます。
さらに重度の特別障害者に認定されている人は、普通の障害者の2倍の金額が控除されます。70歳までの期間に12万円を掛けた額が控除されます。
前例のように40歳で相続した場合、12万円×(70-40)=360万円、が税額控除されます。

贈与税額控除

法定相続にあたる人は、相続前3年以内の贈与された贈与価額が、相続税課税額の対象になります。相続が発生しそうな時期になり、急いで資産を移転する行為に歯止めをかける意味があります。そのため、法定相続人に限って、相続時から遡って3年以内の贈与はなかったものとして再計算します。
そのため、すでに贈与財産に対して支払った贈与税が全額控除されます。これが「贈与税控除」で、同じ財産に贈与税と相続税が2重に課税されることを防ぐ狙いがあります。2重に課税されるのは、明らかに不合理です。このため、相続の時点で、すでに支払った贈与税額分を差し引くことができます。ただし、すでに支払った贈与税額が、相続発生による相続税額よりも上回ったとしても、上回った分については還付されません。
贈与税額のほうが相続税額よりも高かったケースでは、恩恵を受けます。ただし支払う側からすれば、贈与税の支払い額を相殺するだけであり、多大なメリットは感じないかもしれません。むしろ贈与税を支払ったこと失念し、2重支払いにならないためにも、贈与税の支払い証明は保管しておくと安全です。

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相次相続税控除

同じ財産について、10年以内に2度以上の相続が発生する場合に適用される制度です。相続までの年数に応じて、2度目以降の相続税が軽減されます。早い時期に相続が発生するほど、控除額も多くなります。祖父から財産を受け継いだ父が5年後に亡くなり、それを息子が相続するケースがこれにあたります。
初年度が最も控除額が多く、9年目が最も少なくなります。相続財産の10%にあたる金額が控除されると、次年度以降は、徐々に控除額が減少していく方式です。例えば、初年度が本来の相続額の10%にあたる額が控除されると、2年度目は9%にあたる額が控除され、年々控除額が少なくなり、10年経つと控除額はゼロのなり、通常の相続税額を支払う計算です。

条件により減免措置が適用

控除とは異なりますが、減免措置が適用されるケースがあります。一つは震災や風水害、火災などに遭い相続した財産が被災した場合で、東日本大震災や熊本地震などが対象になります。倒壊や流失など大きな被害を受けることもあります。取得財産の1割以上が、震災など棄損した場合は、相続税の減免措置の適用を受けられます。相続税の減額をはじめ、納付期間の延長などが、事情に即して認められます。
また海外財産を相続し、相続した財産のある国で、すでにその国の相続税を支払っている場合も、減免措置が受けられます。