システムエンジニアの友人が「年収800万円」と聞いて驚きました。業界ではこれが普通の水準なのでしょうか?
配信日: 2025.06.18

そこで本記事では、システムエンジニアの平均年収から、システムエンジニアの収入が高い理由をさまざまな資料と比較しながら解説します。

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システムエンジニアの年収はいくら?
厚生労働省の調査「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模別で見たシステムエンジニア(システムコンサルタント・設計者)の年収は以下のとおりです。
・10~99人:562万8700円
・100~999人:622万6800円
・1000人以上:788万6200円
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、勤労者5076万人の平均年収は460万円でした。企業規模にもよりますが、システムエンジニアの年収は勤労者の平均年収を100~300万円以上上回り、年収の高い仕事といえるでしょう。
システムエンジニアの年収が高い理由
システムエンジニアの年収が高い理由として、以下3点が挙げられます。
・人材不足による需要の高まり
・時間外労働が多い
・専門技術に加えてコミュニケーション力も求められる
これらについて、以下で一つずつ解説します。
人材不足による需要の高まり
IT業界は需要が高まる一方で、人材確保が課題です。総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社(東京都新宿区)が調査した「2040年のIT人材予測レポート(2024年版)」によると、IT人材は2040年に最大で73万3000人が不足すると予測されています。
こういった調査結果からもシステムエンジニアを含めたIT業界の仕事は、今後も需要が高まると考えられます。需要が高まる一方で働き手が不足している状態が続けば、人材確保のために給与水準が高くなるでしょう。
時間外労働が多い
厚生労働省「IT業界の長時間労働対策について」の調査によると、IT業界の年間所定外労働時間の平均は198時間でした。全産業の平均は128時間のため、IT業界は、全産業の中でも所定外労働時間が多いといえます。
納期に間に合わせるための残業や、想定外のトラブル対応による勤務日以外の出勤などが、時間外労働の多い理由です。基本給に加えて、残業代や休日出勤手当などの時間外労働手当が増えるため、システムエンジニアの給与は高くなるのです。
専門技術に加えてコミュニケーション力も求められる
システムエンジニアは、依頼者である顧客の要望をヒアリングし、システム設計や開発を行います。そのため、システム設計や開発に関する専門知識はもちろん、顧客のニーズを聞き、時には苦情にも対応するコミュニケーション力が必要です。
さらに、システム開発のプロジェクトを遂行するために複数のプログラマーに指示を出すこともあるため、マネジメント力も必要とされる仕事です。このように、幅広いスキルや知識を求められるため、システムエンジニアの給与は高くなるといえます。
経験年数が浅くても収入は高めで、経験値が上がるほど賃金に反映されやすい
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、システムエンジニアの経験年数別の給与額は図表1のとおりでした。
図表1
厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」より抜粋
傾向として、緩やかではありますが経験年数が増えるごとに賃金も上がっています。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、企業規模別の勤続年数が15~19年の賃金は以下のとおりでした。
・大企業で40万7200円
・中企業で35万3300円
・小企業で33万5700円
上記3つの賃金と図表1のシステムエンジニアの賃金を比較した場合、システムエンジニアの賃金が、経験年数5~9年の時点で大きく上回っていることが分かります。このことから、システムエンジニアは経験年数が浅くても、賃金は高い傾向にあり、また経験を積むほど、より賃金が上がるといえるでしょう。
システムエンジニアは、需要が高くスキルが求められる仕事! 経験するほど高収入が目指せる
IT業界は、今後も需要が高まる業界です。その業界で働くシステムエンジニアは、これからも求められる職種といえます。また、業務で求められるスキルの高さや時間外対応の多さが、収入の多さに関係していることが分かりました。
システムエンジニアは、経験年数が浅くても給与水準が高めです。それゆえ、経験や実績を積めば、さらに高収入となる職種といえるでしょう。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 第3表
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
ヒューマンソリシア株式会社 2040年のIT人材予測レポート(2024年版)
厚生労働省 IT業界の長時間労働対策について
厚生労働省 職業情報提供サイト job tag システムエンジニア(基盤システム)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 一般労働者 勤続年数階級別
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー