更新日: 2024.09.01 年収
給与明細で「組合費」という項目で3000円引かれています。手取りが減るので嫌なのですが、この「3000円」は何に使われているのか知りたいです。
給与明細に記載はあるけれど、どんな目的で使われているかなかなか知る機会はないことでしょう。周りに聞いてみても、同じように組合費について知識を有していない人がいるかもしれません。
本記事では、組合費がどんな費用なのかをはじめ、使いみちや徴収方法について解説します。その他にも記事内では、組合費の月額平均をまとめているので、自身の天引き額と比べて高いのか、または安いのかの判断に役立ててみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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組合費とは?
組合費とは、労働組合が活動するにあたって欠かせない費用です。労働組合は、労働者主体で一致団結し、労働条件の改善や経済的地位の向上を目的に設置されています。なお、日本国憲法第28条にて保障された労働三権とは、以下のとおりです。
・団結権:労働者にて雇用側と対等な立場で話し合うために労働組合を結成する権利
・団体交渉権:労働者が使用者である企業と労働条件などの団体交渉が可能な権利
・団体行動権(争議権):労働者の要求実現を目的に団体で行動する(いわゆるストライキ)権利
労働組合に加入する従業員を組合員と呼び、雇用条件や労働条件の改善について交渉を実施します。より良い労働環境の実現を目的に存在するのが労働組合であると認識しておけばよいでしょう。
組合費の使いみち
労働組合の活動を支えるために貴重な財源となるのが組合費で、主な使いみちは以下のとおりです。
・労働条件の改善を目的とした交渉活動
・組合員に対する教育研修
・組合員の福利厚生や労働相談などのサポート
自らの権利を労働者たちで守り、働きやすい未来を形成するための資金であると考えれば理解しやすいでしょう。なお、組合費の使いみちを組合規約で定めており、透明性を確保するべく定期的に組合員に報告するのが一般的です。
労働者の給与から天引きで徴収する
組合費は、労働者の給与から天引きで徴収されるのが一般的です。天引きされる組合費の金額は一律ではなく、加入する労働組合によって異なります。
平均月間組合費は1人につき3736円
厚生労働省の「令和3年 労働組合活動等に関する実態調査 結果の概況」によると、平均月間組合費は1人につき3736円です。また、組合費は会社規模が大きいほど高く、5000人以上と30~99人の会社を比較すると、1444円もの金額差が見られます。
・5000人以上:4290円
・1000~4999人:4263円
・500~999人:3947円
・300~499人:3466円
・100~299人:3058円
・30~99人:2855円
会社規模以外にも、労働組合の種類によって組合費の金額が異なります。
・本部組合:4125円
・単位労働組合:3714円
(支部等の単位扱組合:4270円、単位組織組合:3044円)
組合費の最多は4000円以上5000円未満
組合費は企業や労働組合の種類などで異なりますが、同調査によるともっとも割合が高いのは、以下のように4000円以上5000円未満でした。
・1000円未満:5.0%
・1000円以上2000円未満:10.7 %
・2000円以上3000円未満:15.3%
・3000円以上4000円未満:15.2%
・4000円以上5000円未満:20.0%
・5000円以上6000円未満:14.9%
・6000円以上7000円未満:6.1%
・7000円以上8000円未満:2.6%
・8000円以上9000円未満:1.4%
・9000円以上: 0.5%
・不明:8.2%
4000円以上5000円未満の次に高いのは、2000円以上3000円未満の15.3%、3000円以上4000円未満の15.2%でした。極端に安かったり、高かったりするケースもありますが、割合としては低いです。
組合費は労働組合の活動資金などに使われている
毎月の給与から組合費が天引きされることに負担を感じている人もいるかもしれません。組合費は労働条件の改善や交渉をはじめ、労働組合の活動資金などに使われています。とはいえ、労働組合の加入を基本的に強制しない企業もあれば、入社したタイミングで労働組合への加入を必須とする企業も存在します。
労働組合に加入しないことで賃金のアップや労働条件改善の恩恵を受けられないなど、組合員の特典を受けられない可能性が高いです。労働組合に加入していれば、毎月数千円の組合費は必要経費と認識して支払いましょう。
出典
厚生労働省 令和3年 労働組合活動等に関する実態調査 結果の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー