更新日: 2024.02.27 年収
公務員は「休職中でも安泰」って本当? 休職中でも「ボーナス」が支給されるの? 受け取れる金額も試算
また、2022年度の総務省の調査では、地方公務員のメンタルヘルス不調による休職者は4万3688人で、指定都市では1.6%、都道府県と市区で1.4%、町村で1.2%と、組織が大きいほど休職者の割合が高い傾向があります。
地方公務員の休業補償は、国家公務員に準ずる形となります。そこで本記事では、公務員が休職したときにどの程度の補償が受けられるのか、国家公務員のケースを例に解説します。
公務員の休職については人事院が法律で定めている
公務員の休職制度は、人事院規則「職員の身分保障」の項目で規定されています。休職制度は次のような場合に活用できます。
・病気やけがの場合
・学校や病院などの公的機関や政府関連の特別な研究や指導に従事する場合
・大きな災害にあって所在不明の場合など
公務員の休職期間は最長で3年です。期間は任命権者(知事や市町村長など)が定めることとなっています。
これとは別に「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」によって病気やけがの場合の休暇について定められています。病気休暇の期間については「連続して90日を超えることができないこと」とされています。病気休暇90日間は給与が満額支払われます。
90日が満了しても復職できない場合は休職の扱いになります。休職中1年間は、給与の80%が支給され、休職2年目以降は無給となり、3年経過して復職できない場合は失職となります。ただし、休職1年~2年6ヶ月までは健康保険から傷病手当金として給与の3分の2程度の手当を受け取れます。
公務員は休職中でもボーナスが支給される可能性あり
休職中であっても過去半年の職務を基準にボーナスが受け取れます。
例えば、3月から病気休暇を取得していた場合、6月のボーナス支給では12/2~6/1の間に勤務していた期間で査定され、ボーナスが支給されます。期末手当、勤勉手当ともに勤務していた割合に応じて支給されます。1年以上休職している場合には、半年以内の勤務は行っていないのでボーナスの支給はありません。
休職について、国家公務員では人事院規則によって定められますが、地方公務員では条例によって定められるため、各地方自治体によって異なります。しかし、多くの場合人事院規則にならうことが多いため、国家公務員と地方公務員の休職制度はおおむね同じです。
公務員は休職中どのくらいの手当を受け取れる?
2022年度の人事院の調査によると、一般職の国家公務員の平均給与月額は約41万円、平均年齢は42.5歳でした。平均的なケースで、病気やけがにより休職した場合受け取れる額は図表1のようになります。
図表1
人事院 病気休暇の取扱いについておよび厚生労働省 共済のしおりより筆者作成
一般的な会社員であれば、休職後、協会けんぽなど健康保険から傷病手当金として通算1年6ヶ月、標準報酬額の3分の2の手当を受けられます。それに比べても、公務員が病気で休職した際の補償は手厚いといえます。
まとめ
病気などで休職したとしても当面20万円以上は受け取れるため、夫婦共働きであれば、なんとか家計をやりくりできる可能性が高いでしょう。
一方、妻が専業主婦で夫が休職となった場合などは、これまでと同じ生活を維持するのは困難だと考えられますが、すぐに破綻してしまうことは避けられそうです。しかし、家族の誰かが病気などで休職すると看護・介助に追われ、これまで通り過ごすことは難しくなるかもしれません。
休職にはさまざまな事情があるかと思いますが、そういった中で休むべき時に手厚い保障があることは心強いものです。いざという時のためにも、休職の際の扱いについても知っておくと安心でしょう。
出典
人事院 令和4年度 年次報告
総務省 地方公務員における働き方改革に係る状況 令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要
人事院 令和4年 国家公務員 給与等実態調査報告書
執筆者:古澤綾
FP2級