トラックドライバーや製造業は「業務量と給料が見合ってない」って本当?平均年収はいくら?
配信日: 2023.03.30
特に長距離ドライバーはきつい仕事だといわれています。実際の業務量に対して、給料が釣り合っていないのではないかという印象を持つ人もいるでしょう。
そこで、今回は、トラックドライバーや製造業について、平均的な業務時間と平均年収をまとめてみました。

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トラックドライバーは低賃金・長時間労働の傾向が高い
国土交通省は、トラックドライバー不足の解決策を探ることを目的にまとめた「トラック運送業の現状等について」を公開しています。その資料では、トラックドライバーは全産業と比べて低賃金・長時間労働であるという結果が示されています。
年間所得額を見ると、平成28年(2016年)の全産業の平均は490万円です。これに対して、トラックドライバーの場合は大型トラックが平均447万円、中小型トラックが平均399万円という結果になっています。
つまり、大型トラックドライバーは全産業より1割ほど年収が低く、中小型トラックドライバーは全産業より2割ほど低いということになります。
ところが、年間労働時間を見ると大型トラックドライバーが平均2604時間、中小型ドライバーは平均2484時間なのに対して、全産業は平均2124時間しかありません。労働時間においては、大型トラックドライバーが全産業のおよそ1.22倍、中小型トラックドライバーは全産業のおよそ1.16倍多いという結果です。
製造業の労働時間と給与は改善されつつある
では、製造業はどうなのか見ていきましょう。厚生労働省がまとめた「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」によれば、全年齢を対象にした製造業の平均年収は294万9000円です。
ただし、全産業の中でもっとも低いというわけではありません。製造業よりも平均年収が低い業種では、運輸業・郵便業で278万5000円、宿泊業・飲食サービス業で257万6000円、生活関連サービス業・娯楽業で268万2000円、医療・福祉で291万7000円、サービス業 (他に分類されないもの)で265万5000円などが挙げられます。
なお、この資料は業種を16で分けており、もっとも平均年収が高いのは電気・ガス・ 熱供給・ 水道業の419万7000円です。年間労働時間については、日本経済団体連合会がまとめている「2020年労働時間等実態調査」で比較することができます。
この資料は、労働時間を「全体」「非製造業」「製造業」の3つに分けて比較しています。2019年では、全体の年間平均労働時間は2000時間、非製造業の年間平均労働時間は2014時間、製造業の年間平均労働時間は1987時間です。
こうして見ると、製造業の平均労働時間は決して長くはありません。平均年収で見れば低いほうに入りますが、労働時間を考えると見合っていないとはいいにくいでしょう。
トラックドライバーの働き方は今後も改善が必要といえそう
年間労働時間は全体的に下がる傾向が見られており、労働環境は改善されつつあることが分かります。
実際には企業規模や役職などでも変わってきますが、トラックドライバーについては今後も改善が必要といえるでしょう。法定時間外労働者については、1ヶ月100時間を超える人が製造業は0.7%にとどまっているのに対し、運輸交通業は1.9%と高い割合です。
出典
国土交通省 トラック運送業の現状等について
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況
日本経済団体連合会 2020年労働時間等実態調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部