更新日: 2023.03.18 年収
「年収500万円」vs「年収1000万円」年収2倍差でも年金額は「60万円」しか変わらない?
そこで本記事では、年金額がどのように決まっているのかについて解説すると共に、「年収が2倍違えば受け取れる年金額も2倍違うのか」について紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金額の決まり方
公的年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類があります。老齢基礎年金は原則、受給資格期間が10年以上ある全ての人が受け取れる年金です。また、老齢厚生年金は会社員や公務員などで厚生年金保険料を納付し受給資格を有している人が受け取れる年金です。つまり、会社員や公務員は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取ることができます。
老齢基礎年金の年金額
年金の受給資格の要件を満たした人は、保険料を納めた期間に応じた年金額を受け取れます。20歳から60歳までの全ての期間に満額の保険料を納めた場合、老齢基礎年金は年間77万7800円(令和4年度)を受け取ることが可能です。また、令和5年度における新規裁定者(満額受給で67歳以下の場合)は79万5000円、既裁定者(同じく68歳以上の場合)は79万2600円に改定されます。
しかし、保険料の免除などで満額の保険料を納めていない場合や納付期間が少ない場合は納付状況により減額されるので注意してください。
老齢厚生年金の年金額
「報酬比例部分」、「経過的加算」、「加給年金額」を合わせた金額を受け取ることが可能です。ここでは、年金額の大半を占める報酬比例部分について解説します。
「報酬比例部分」の計算方法は、厚生年金に加入している期間が平成15年4月よりも後の場合は、「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入した月数」となっています。平均標準報酬額は、給与を一定の幅で区分した標準報酬月額と標準賞与額を合わせた金額を平成15年4月からの加入期間で割って平均を出した金額です。
例えば、平均年収が600万円の場合は平均月収が50万です。これを令和4年度の保険料額表に合わせてみると、標準報酬月額も50万円となります。そして、厚生年金に加入期間を240ヶ月(20年)としてみると、50万円×5.481÷1000×240ヶ月となり、65万7720円です。
年収が2倍違うと年金額も2倍になるの?
平均年収500万円の場合と平均年収1000万円の場合を比べていきます。ここでは、年金保険料は20歳から60歳までの期間を満額で納め、厚生年金は22歳から60歳までの38年間(456月)にわたり加入したと仮定して計算します。
年収500万円の場合
令和4年度における老齢基礎年金の満額は77万7800円です。
一方、老齢厚生年金は「報酬比例部分」のみを計算していきます。平均年収が500万円の場合、平均月収は41万6667円(小数点以下四捨五入)です。これを令和4年度の保険料額表で確認すると、「標準報酬月額」は41万円となります。
計算式に当てはめると、41万円×5.481÷1000×456月(=38年分)となり、102万4728円です。老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせると、年間180万2528円を受け取ることができます。
年収1000万円の場合
老齢基礎年金額は、年収ではなく保険料を納めた期間で決まるため、同じく77万7800円です。
老齢厚生年金は、平均年収が1000万円だと、平均月収は83万3333円です。標準報酬月額は上限が決まっているため、月収83万3333円の場合の標準報酬月額は上限の65万円となります。65万円×5.481÷1000×456月を計算すると、162万4568円です。老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額は、240万2368円となります。
したがって、平均年収が500万円の場合と1000万円の場合を比べると、約60万円程度しか違いがないことが判明しました。
年収が倍違っていても公的年金額に大きな差はない
年収が2倍違っていても、公的年金額には60万円程度しか違いがないことがわかりました。その理由としては、老齢基礎年金の金額が年収によって変わらないことや標準報酬月額に上限があることが挙げられます。
公的年金は老後の生活で必要不可欠といえるものなので、本記事をきっかけに自身の年金額も確認しておきましょう。そして、年齢に合わせたライフスタイルについても考えてみてください。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
※2023/4/17 記事を一部修正させていただきました。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部