更新日: 2023.02.17 年収

「社会人2年目の悲劇」1年目より手取り額が減るのはどうして…?

「社会人2年目の悲劇」1年目より手取り額が減るのはどうして…?
社会人2年目、昇給したのに給料の手取り額が1年目よりも減ってしまう。そんな経験をする方は決して少なくありません。仕事にも慣れて昇給もした。そんな方でもこのような悲劇は起こりうるのです。では、なぜ2年目に手取り額が減るということが起こるのでしょうか。その原因を解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

手取りとは何か


 
まずは手取りとは何か考えていきましょう。手取りとは、総支給額(いわゆる額面)から所得税や住民税といった税金や、健康保険料や厚生年金保険料などを差し引いた残りの金額をいいます。
 
勤務先の福利厚生の加入状況によっては福利厚生にかかる費用がさらに差し引かれることもあります。いわば手取りとは実際に自分の手元に振り込まれる給与というイメージです。一般的に手取りは総支給額の8割前後の金額になります。
 

社会人2年目で手取りが減る理由は住民税にある

1年目と2年目の給与明細を見比べてみてください。2年目の給与明細の控除の欄に1年目のときは記載のなかった住民税の金額について記載がされているはずです。7000円や8000円、人によっては1万円近い額となっていることもあるでしょう。社会人2年目の手取りが減ってしまう最大の理由がこの住民税です。
 
人によって異なりますが、この住民税によって引かれる額は大抵昇給の額より高いため、社会人2年目の手取りは1年目よりも減ってしまうのです。
 

住民税はなぜ2年目のタイミングで発生するのか

住民税が2年目のタイミングで発生する理由は、住民税の計算方法にあります。住民税は前年の1月から12月の所得を基に計算され、その年の6月から引かれることになります。
 
社会人1年目の場合、基本的には前年は学生であり、その所得は住民税が非課税の範囲になることがほとんどでしょう。
 
しかし、社会人2年目における前年は社会人1年目です。金額の大小に個人差があれどフルタイムで働いていれば住民税の非課税のラインを超えます。このように、住民税は前年の所得が基準となるため、社会人2年目のタイミングで発生するのです。
 

住民税を節税するにはどうしたらいい?

住民税が発生して手取りが減ってしまうのであれば、その分節税を実施することで手元に残る財産を殖やすことができます。
 
手軽に行える節税策として有効な方法のひとつにふるさと納税があります。ふるさと納税とは、ポータルサイトを通じて任意の自治体に寄付をすると、返礼品が受け取れ、さらに翌年の住民税から寄付額の分が控除されるという制度です。
 
ふるさと納税は実質的に住民税の前払いであり、支払う総額に変化があるわけではありませんが、返礼品を日用品や食料品などにすることで家計全体の支出を減らすことができます。
 
もう1つ有効な制度にiDeCoがあります。iDeCoに拠出する掛け金は所得控除となっており、拠出した掛け金に応じて住民税を節税することができます。しかし、iDeCoに拠出したお金は原則60歳以降にしか取り出せない上、住民税の節税額は掛け金の10%のみのため注意が必要です。
 

社会人2年目は住民税に注意

多くの社会人は2年目になると住民税が発生してしまい、1年目より手取りが減少してしまいます。社会人2年目で手取りが減るのは珍しいことではなく多くの方に起こりえることです。
 
社会人2年目の方は住民税によって手取りが減っても慌てることなく、どうしたら手取りを増やしていけるか、住民税を節税していくことができるかといった観点から前向きにお金と付き合ってみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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