更新日: 2021.01.15 貯金
「タンス預金」はなぜ危険? 税務署に指摘されるとどうなる?
今回は税務署に指摘された場合にどうなるかなど、タンス預金の危険性について解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
タンス預金とは
タンス預金について一言でいえば、銀行など金融機関以外の場所、例えば自宅のタンスの中や貸金庫などでお金を保管しておくことをいいます。
お金は銀行に保管しておかなければならないという法律はなく、給料の一部をへそくりにしたり、銀行の営業時間外でもお金を引き出せるよう自宅のタンスや机の中にお金を貯めておいても、きちんと確定申告や年末調整をしていれば税務署から指摘を受けることはまずないでしょう。
しかし、タンス預金が表に出にくいお金であることを利用して、しばしば脱税の手法として使われることがあるため、税務署はタンス預金に対して厳しい目を向けています。
例えば、相続して得たお金を隠して相続税を過少申告したり、どこかから盗んだり、だまし取ったお金を自宅などに隠している場合です。当然これらは犯罪となる行為であり、タンス預金が問題となるのは主にこういった犯罪がらみの場合です。
タンス預金が危険である理由
「タンス預金は危険だからやめた方がいい」といわれることがあります。そういわれる背景には次のような理由があります。
物理的なリスクがある
銀行に預けていれば、基本的にお金が盗難されたり紛失したりということはありません。しかし、タンス預金では、災害や火事、泥棒に侵入されるなどといったリスクが高まります。
隠し場所を忘れてしまう可能性がある
お金を隠していると10年や20年たってお金を使おうと思ったときに隠し場所を忘れてしまい、財産が行方知らずとなってしまう可能性あります。
仮に自分では覚えていても、家族がそのことを忘れてしまったり、そもそも知らずに隠し場所ごと現金を処分してしまうということもありえます。
資産価値が目減りしていく
経済というのは成長していくものであり、物価価値も年々上昇しています。タンスの中で10年間1000万円を眠らせていたケースで考えてみましょう。
1000万円というお金としての額面は同じであっても、今の1000万円の価値と10年後の1000万円の価値が同じであるとは限りません。仮に10年後の物価が今よりも全体的に10%上がっていれば、その分実質的に資産価値が目減りしたといえます。
タンス預金を税務署に指摘されるとどうなる?
税務署の探索能力は非常に高く、うわさ話はもちろん銀行口座の出入金履歴や確定申告、年末調整といった所得の情報から照会し、少しでも怪しいお金の動きがあればすぐに察知して調査をします。
また、本人や金融機関だけでなく場合によっては家族や知人、勤務先などにもひっそりと調査の手を回すこともあります。
聞き取り調査やお金の流れの追跡などによってそのタンス預金が申告のない収入や相続によって得た財産ということが発覚すると、脱税行為となり、追徴課税によって多額の支払いが命じられるだけでなく最悪の場合逮捕されるという可能性もあります。
税務署から指摘が来るのは大抵本人が忘れている頃であるため、自分なら大丈夫とは絶対に思わないようにしてください。
タンス預金を利用した税金対策は危険
災害によって現金が引き出せない状況などに備え、ある程度手元に現金を置いておくこと自体は悪いことではありません。
しかし、ばれないだろうと考えて商売によって得た利益をタンス預金としたり、相続したお金をタンス預金として隠すというような行為は行わないようにしてください。
税務署はありとあらゆる手法によって脱税を見つけ、タンス預金についても容赦なく指摘してきます。税金を払いたくないあまりタンス預金でお金を隠したものの、追徴課税によって余計なお金を払っていたのでは元も子もありません。
執筆者:柘植輝
行政書士