更新日: 2020.10.07 家計の見直し

家計の国際比較!日本の貯蓄率は低い? 高い?

家計の国際比較!日本の貯蓄率は低い? 高い?
2020年3月頃から新型コロナウイルスが猛威を振るい、世界の経済に大きな影響を与えています。最近では日本の失業者数が増加傾向で、毎月の収入が減り、家計が苦しいと感じている方もいるかもしれません。
 
実際のところ、私たち日本人の貯蓄率は世界各国と比べてどのくらい低い、または高いのでしょうか。今回は、日本人の家計の状況について他の国々と比べてみましょう。
下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

実は低い? 日本の家計貯蓄率

家計貯蓄率とは、家計における所得に対する貯蓄(所得から消費支出を引いたもの)の割合を指します。貯蓄率が高ければ高いほど、収入のうち、多くを貯蓄できていることになります。逆に、家計において所得以上に消費してしまい、これまで貯蓄してきたお金を切り崩している場合、家計貯蓄率はマイナスとなります。
 
では、皆さんは日本の家計貯蓄率にどのようなイメージを持っているでしょうか。数字に正確な日本人の性格から、コツコツと貯金している方が多いと考えている人もいるかもしれませんが、家計の貯蓄率を国際比較してみると、以下のとおりとなっています。
 
●家計貯蓄率の国際比較(2017年)(※1)
日本  :2.3%
アメリカ:6.7%
イギリス:4.2%
ドイツ :9.9%
フランス:13.8%
 
世界の主要国と比較すると、日本の家計貯蓄率は低いという現状が分かります。日本の場合、2000年頃から家計貯蓄率が下降し始め、2014年には消費税増税に伴いマイナスとなりました。それからも引き続き、低水準で推移しているという特徴があります。
 

日本は現金主義?

次に、日本やアメリカ、ユーロエリアの人々が、家庭の金融資産をどのようなかたちで保有しているか、チェックしていきましょう。
 
●家計の金融資産構成の国際比較(2019年)(※2)
日本
現金・預金53%、債務証券1%、投資信託4%、株式・出資金10%、保険・年金準備金29%、その他3%
 
アメリカ
現金・預金13%、債務証券7%、投資信託12%、株式・出資金34%、保険・年金準備金32%、その他3%
 
ユーロエリア
現金・預金34%、債務証券2%、投資信託9%、株式・出資金19%、保険・年金準備金34%、その他2%
 
日本人は投資をせずに、現金・預金で金融資産を保持する傾向がありますが、国際比較をすると、その特徴がよく分かります。アメリカやユーロエリアと比べて、日本の投資信託や株式への投資は圧倒的に低くなっています。
 

家計の危機に必要な見直しポイント

新型コロナウイルスの影響により収入が減るなどして、今後の家計管理や貯蓄の重要性について感じている方も多いかもしれません。家計の危機に備えて、今からできる対策を考えていきましょう。
 
ポイントとなるのは、「貯金」と「投資」です。世界的に見ても家計貯蓄率が低い日本人は、少しでも収入を増やし、コツコツと貯金をしていく習慣を身に付けることが大切です。毎月の収入から、すぐに貯蓄分を別の口座に移す「先取り貯蓄」を実践してみましょう。
 
また、老後資金のためなど、将来に向けて投資をスタートさせることも重要です。先ほどご紹介したデータのとおり、日本人は家計の金融資産の約半分を現金・貯金で保有しています。しかし、そのうちの一部分を投資に回し、お金を増やしていく資産運用にチャレンジしてみましょう。
 
もちろん投資初心者の方には、アメリカやヨーロッパの人のように家庭の金融資産の20%~30%まで投資をしろ、とはいいません。例えば、新型コロナウイルスの影響で日本人全員が受け取ることができた特別定額給付金の10万円を使うなどして、資産運用を始めてみるのはいかがでしょうか。
 
コツコツと長期投資をすることで、資産を大きく増やすことができる可能性があります。まずは、自分が投資できる運用元本で資産運用を始めてみましょう。
 
いかがだったでしょうか。日本の貯蓄率の低さや、投資信託などで資産運用をしていない現状に、少し驚いた方もいるかもしれません。新型コロナウイルス影響で家計がピンチなときこそ、お金の管理方法を見直すチャンスです。今回ご紹介した内容を参考にしながら、「貯金」と「投資」にポイントを絞って、ぜひ家計を再点検してみましょう。
 
出典
(※1)金融広報中央委員会 貯蓄率の国際比較
(※2)金融広報中央委員会 家計の金融資産構成の国際比較(2019年/令和元年)
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者


 

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