更新日: 2020.09.14 その他家計
医療費をどのくらい払ってるか知っていますか? 世代別の医療費・生涯医療費を確認しよう
今回は、厚生労働省のデータから私たちの医療費について、年齢別や性別にその金額をチェックしていきましょう。新型コロナウイルスに関わる医療費についても解説します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
どのくらい医療費を払っている?
まずは年齢別に、1人当たりの医療費をチェックしていきましょう。私たち日本国民は、国民健康保険など、必ず何かしらの保険制度に加入する義務があります。毎月決められた保険料を支払うことで、けがや病気で医療費が発生した場合、例えば一般的な社会人の方は医療費が3割負担となるように、自己負担分が軽減される仕組みとなっています。
そこで厚生労働省の調査結果(※)を基に、20代から80代の患者さん本人が実際に支払った自己負担金額の年間の総計について見ていきましょう。
20~24歳 :1万7804円
25~29歳 :2万2352円
30~34歳 :2万6005円
35~39歳 :2万9133円
40~44歳 :3万3116円
45~49歳 :3万9898円
50~54歳 :5万0212円
55~59歳 :6万2045円
60~64歳 :7万6054円
65~69歳 :8万9316円
70~74歳 :7万1642円
75~79歳 :6万4401円
80~84歳 :7万4646円
85~89歳 :8万2650円
医療費の自己負担は、65~69歳が最も高額となっており、最も金額が低い20~24歳に比べると約5倍かかっていることが分かります。
年齢が高くなるにつれ、仕事を引退し、収入が減るご家庭が多いと思いますが、逆にかかる医療費の自己負担額は上昇していきます。若くて働けるうちに、そして医療費負担が少ない20代から50代のうちに、きちんと貯蓄しておくことが重要となります。
生涯医療費っていくら?
次に、人が一生のうちにかかる医療費の総額について見ていきます。厚生労働省の調査(※)によると、男女別の生涯医療費は以下のとおりとなっています。
生涯医療費(平成29年度推計)
男女計:2700万円
男性 :2600万円
女性 :2800万円
男性と女性を比べると、一生のうちにかかる医療費は女性の方が高いと推計されています。これは女性の方が平均寿命が長く、長生きする傾向にあるため、その分医療費が高くなるからだと考えられます。
また、生涯医療費全体のうち、半分は70歳以上でかかる費用です。年齢を重ねるにつれて、体の不調や病気により病院に通う機会も増え、医療費が増えてくる現状が分かります。後期高齢者は、若い世代の方に比べると医療費の自己負担比率が少なくなります。
しかし、やはり将来、経済的に苦しくならないようにするために、現役時代の行動が大切です。若い頃から健康寿命を延ばすことや、万が一のときに備えて、コツコツと貯金をしていくことがポイントといえるでしょう。
新型コロナウイルスに感染したら、医療費はかかる?
2020年3月頃から新型コロナウイルス感染症が流行しています。普段の医療費の自己負担に加えて、もしも新型コロナウイルスに感染してしまったら、入院費や医療費の負担はどのくらいになるのか、気になっている方もいるかもしれません。
実際のところ、新型コロナウイルスに感染してしまった場合にかかる医療費は、基本的に全て公費で賄われることになっています。入院中のパジャマやタオルなど、生活にかかる費用は自己負担となりますが、治療費自体はタダになるので大きな負担にはならないでしょう。
さらに、自分で民間の医療保険に加入している方の場合、新型コロナウイルスに感染して入院すると、通常の疾病と同じように入院給付金や通院給付金が支払われる仕組みとなっています。医療費が気になる方は、自分が加入している保険会社のホームページをチェックしてみましょう。
いかがだったでしょうか。新型コロナウイルスの影響で、医療費への関心が高まっている方もいるかもしれません。今回ご紹介した年齢別の医療費や生涯医療費を参考にしながら、もしものときのためのお金が十分に貯金できているのか、もう一度、家計を総点検してみてはいかがでしょうか。
出典
(※)厚生労働省保険局調査課
医療保険に関する基礎資料 ~平成29年度の医療費等の状況~(令和元年12月)
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者