更新日: 2019.01.11 ライフプラン
共働き夫婦「収入が多い方に子どもの扶養」が正解ではないわけ
税金の計算をする時には収入の多いほうの扶養にした方が、節税効果があります。
健康保険の扶養は収入金額だけではなく、健康保険の制度も考えた加入をお勧めします。
Text:福田斉子(ふくだ ときこ)
ファイナンシャルプランナー/公的保険アドバイザー
確定拠出年金相談ねっと認定FP
anesis plu-s代表
シングルで子育てをしながら、ファイナンシャルプランナーとして活動を行っています。特に、自身の経験をもとに、主にシングルマザーやワーキングマザーを対象にした資産形成のアドバイスに力を注いでいます。また将来設計のための「iDeCoセミナー」や「ねんきん定期便セミナー」の相談業務を行っています。
所得税、住民税は年末調整で計算します
会社員の年末調整では、いろいろな控除があります。
その中で扶養控除というものがありますが、年末調整の時に前もって会社に提出するのが、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書です。
これを基に他の控除と一緒に会社で源泉徴収票を作成し、所得税や住民税の計算をします。
この控除するものが多いと所得税・住民税が安くなります。
ですから、所得の多いほうの扶養にした方が節税メリットがあります。
健康保険証の扶養はなにが得になる?
子供の医療費は、市区町村により違いはありますが、ほとんどが中学入学前までか卒業まで無料や一部負担です。
一部負担の場合は所得制限などがあります(自治体により異なります)。
所得制限がある場合は、所得の多いほうの扶養にすると医療費の助成から外れてしまうこともあります。
この場合は、所得の少ないほうの扶養にすることによって、医療費がかからなくて済みます。
医療費が高額になってしまった時
また、医療費の助成が終わった後に、万が一病気やケガで医療費が高額になった場合、収入によって高額療養費の上限が違ってきます。
例えば、
・医療費が100万円かかった場合、
子供が夫の健康保険証に加入していて、仮に夫の収入が1,000万円では
167,400円+(100万円-558,000)×1%=171,820円
・子供が妻の保険証に加入していて、仮に妻の収入が500万円では
80,100円+(100万円-267,000)×1%=87,430円
どちらの健康保険証に加入するかで、ひと月の上限額が倍近く違ってきます。
高額療養費、上限額だけ見てはダメ!
収入だけで決めてはいけない場合もあります。
会社員の健康保険証には、組合健保と協会けんぽというものがあります。
組合健保は、その会社だけで健康保険組合を持っているところで、独自の給付をつけているところがあります。
例えば、高額療養費が171,820円かかったとしても、会社の健康保険組合に申請すれば、自己負担2万円であとの差額は返してくれる制度があります。
協会けんぽは、独自の給付制度がありません。
先ほどの例でいうと、夫は組合健保、妻は協会けんぽだとすると、支払わなければならない金額は夫の方が多いですが、戻ってくるので結果的には夫の健康保険証に加入していた方が自己負担金額が少なくなります。
ご夫婦どちらも組合健保の場合は、会社によって給付内容が違いますので、給付内容を比べてみてください。
また、どちらも協会けんぽの場合は、収入の少ないほうの扶養にした方が高額療養費の負担が小さくて済みます。
子供を扶養にする場合は、税金と健康保険と別々に考えた方が良いでしょう。
※2017/11/14 文章を一部修正させていただきました。
Text:福田斉子(ふくだ・斉子)
ファイナンシャルプランナー/公的保険アドバイザー
http://anesisplu-s.com/