更新日: 2020.01.31 家計の見直し

増税後の家計への負担を減らすためにどうしてる?子育て世帯の節約3つのポイント

執筆者 : 當舎緑

増税後の家計への負担を減らすためにどうしてる?子育て世帯の節約3つのポイント
2019年10月、消費税が増税されましたが、前回の5%から8%への増税のときよりも混乱は少なく、事前に対策をあまりしていない方が多かったように感じています。
 
ニュースでは、大量に消耗品を買う光景も報道されていましたが、今回を契機にキャッシュレス決済でキャッシュバックに挑戦した方もいますので、まだ家計への影響は見えていません。
 
そんな中、ライフネット生命による調査が公開されました。今回はこの調査をもとに増税後の家計を考えてみたいと思います。
 
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

増税後の涙ぐましい努力の数々

調査によると、増税後の見直しの方法がいくつか挙げられています。節約の方法は、ガマン型節約とスッキリ型節約に分けられています。
 
日々の生活での出費を抑えるガマン型節約で、食費や外食、娯楽費を抑えるというのは、家計の見直しで普段からよく行われていることですが、この詳細がすごいとしかいいようがありません。以下、いくつか挙げてみましょう。
 
(1)食費の見直し、削減をする際、昼食を抜きにする、肉や魚のない野菜だけの食卓にする。スーパーで割引シールが貼られるのを待つ、特売セールをはしごする
 
(2)水道代、光熱費を削減するために、トイレのタンクにペットボトルを入れる、家に帰る際に外出先でトイレを済ませる、昼はあまり電気をつけない、暖房をつけずにスキーウエアなどを着て過ごす
 
など。本当に涙ぐましい努力をされていて、読んでいるだけで頭が下がる節約の数々です。
 

注目したいのはスッキリ型節約

スッキリ型節約とは、節約の効果が高いものです。代表的なものとしては固定費の削減です。通信費や保険、車やバイクの維持費、住居費など、月々固定でかかってくる費用のことをいいます。また、住宅購入に関しても大きな決断ですが、価額が大きいだけに節約の効果が高いものです。
 
住まいとなる家について考えると、借りるか買うのか、どちらがお得という話になったとき、「月々支払うのであれば、買うほうが得でしょう」という方も一定数いらっしゃいます。確かに月々の家賃だけ考えると、どうせ払うのだから自分の所有物になるというのはメリットだともいえます。
 
ただ、日本は災害がとても多い国です。2019年は地震が少なかったものの、台風など水害で被害を受けた方も多いでしょう。災害で家が流される、流されてはいないがこのままでは住めず、補修する間、別に住む家の家賃が発生するという方もいらっしゃるでしょう。
 
家を所有するということは、補修や固定資産税、セキュリティー費用などがかかる上、将来的に子どもが住んでくれなければ、売却するにも家を解体する費用まで考える必要があるのです。
 
そうなると、希望価額では売却できそうにない、解体のための費用はかかる、子どもが相続してくれない、ということを考えれば、目の前の節約だけに目を向けるのでなく、「家を買わない選択肢」もあるわけです。これは極端な例かもしれませんが、ライフプランから考えるスッキリ節約はあなどれません。
 

子どもがいる家庭に節約はムリ! な気持ちはわかるけど……

今回のライフネット生命調べでは、子どもがいる場合といない場合で、増税後の消費者の負担増がどれくらいになるかについても集計がされています。これによると、負担の増税額は5655円、お子さまのいる人の平均は6829円だそうです。
 
子どもがいる方は、全体の平均額と比べて1174円高く見積もっています。これは、子どもがいるとどうしても費用が高くなりがちという自覚があるということです。ここで、子育て世帯にとっての節約についても触れておきましょう。

1つ目のポイント

「幼児教育無償化、高等教育の給付型奨学金があったとしても、その分、子どもの出費を増やさない」
補助があると気持ちが大きくなって、子どもの習い事などを増やした方もいるかもしれません。返さないで良い奨学金が利用できることで、学費の目的貯蓄額を下げた方もいるかもしれません。
 
しかし、親の負担が減るわけではありません。文部科学省の調査でも、私立大学の学費は上がり続けていますし、幼児教育無償化で幼稚園の給食代など費用面が高くなったということも報告されています。

2つ目のポイント

「子どもの成長、環境の変化とともに保険の見直しは必ず行ってください」
保険は他人に丸投げしないということです。私たちFP(ファイナンシャルプランナー)が見直しをしても1つの商品に絞れるとは限りません。それくらい難しいものであるからこそ、複数の方に聞きつつ、最適の保険に近づけるという作業を面倒がらないことです。

3つ目のポイント

「子どもへの金銭教育を忘れない」
今の子どもは小学生からスマホを持つ子も多く、ネット上の情報を非常にたくさん得られる割にとても無防備です。大学生の間で投資詐欺の被害があることをご存じの方も多いでしょう。「子育て世帯の節約は難しい!」ことから、子どもにお金に関する知識を持たせるなど、意識改革から始めてみましょう。
 
今後も高齢化社会が進む日本では、社会保険料などの上昇も止まることはないでしょうし、終身雇用での賃金上昇も予測できないだけに、ますます個人の家計運営は難しくなることが予測されます。
 
日々の苦しいガマン型節約だけでは、節約事態を継続することは困難です。ライフプランを立て、ちゃんとした知識を持つことで家計は守れます。令和2年目、まだまだ間に合います。消費税増税後のわが家の家計、できることから始めてみましょう。
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。


 

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