更新日: 2019.10.29 ライフプラン

定年後は、収入が大幅ダウン。夫婦で話し合う「家計のスリム化」計画

執筆者 : 宮﨑真紀子

定年後は、収入が大幅ダウン。夫婦で話し合う「家計のスリム化」計画
定年延長で長く働く時代になりました。とはいえ一般的には60歳を過ぎると、いわゆる現役時代に比べると収入は大幅にダウンしてしまいます。乗り越えるには家計のスリム化が求められます。ここで生活を整えておくと、年金生活への移行がスムーズになります。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

家計のスリム化は、できることから

家計をスリム化したい。10月から消費税が増税されましたので、どの家庭でも気にされている課題ではないでしょうか? 冒頭に書いたように、収入が減ってしまう状況では早急に着手したいところです。
 
まず、月々の支出内容に無駄がないかをチェックします。即効性のあるものは、保険料と通信費です。これらは家計簿を付けていない家庭でも、銀行口座の通帳やクレジットカードの明細で、金額をスグに確認ができます。
 
必要以上に保険に加入している場合は見直しをします。スマートフォンのプラン変更や格安スマホに替えることも効果が大きいです。
 
どちらも、現在自分の加入しているプランを把握できていないことが多いので、まず内容を確認します。過分な特約やオプションを外したり、新商品や割安なプランに乗り変えたりすることで、節約につながります。手続きをすれば、ずっと効果が持続するので、早めの行動がお勧めです。
 
食料品や日用品、被服費、娯楽レジャーの費用は、月間の支出額を知ることが第一です。その上で、それぞれの予算を決めます。時間に余裕が出てくると時間の使い方が変わってきます。
 
“プチ同窓会”などが増えると、娯楽レジャー費や被服費がアップします。せっかくの機会ですから旧交を温めることは大切です。予算をオーバーしたなら、ほかで調整するなどの工夫が大切です。そのためにも支出の把握は必要です。

ダブルインカムの落とし穴

住宅ローンについては以下のような事例があります。
 
Aさんは夫(57歳)とマンション暮らし。ひとり息子は社会人となりすでに独立しています。夫が「60歳まではローンを払うことができるが、それ以降は払っていくことは無理だ」と、まさかの宣言をされたそうです。
 
Aさんは、2年前に母親の介護のために早期退職をしました。それまではダブルインカムでしたので、生活には余裕がありました。共働きのご夫婦は、お互いの収支を把握していないことが多いのです。
 
毎月、夫が住宅ローンを支払い、食料品などの生活費は妻が負担する、というように分担制でうまくいっています。相手が貯蓄しているだろうと安心していて、いざ、ふたを開けたら2人とも貯蓄がなかった、という話も聞きます。
 
Aさんが仕事を辞めて、生活費も夫が負担することになっていました。教育費がかからなくなり家計全体での支出は減りましたので、夫の収入だけでも現段階では余裕があります。60歳以降を試算したときに、想定以上の取り崩しが発生したものと思われます。
 
住宅ローンの支払期間は18年近く残っています。現在契約されている金利が少し高かったので、借り換えをすることにしました。加えて、保険の見直しと自家用車を手放すことを提案しました。それらを実行すれば収支は改善し、Aさんの不安も解決したかに思えました。

夫婦での話し合いで、思わぬ展開に

Aさんのマンションは、駅まで徒歩5分以内。周りには駅ビルや商店街などがあり、とても便利な立地です。マンション内の駐車場料金も含め、車を手放すことで費用の削減効果は大きいと考えました。
 
ところが、この提案にご主人が猛反対。「絶対に譲れない」ということで、マンションを手放し、郊外の一戸建てに引っ越すことになりました。
 
マンションは立地の良さもあって、高額で売却することができましたので、新しいローンはあるものの、支払額も圧縮できました。
 
この事例では何よりも、夫婦で真剣に将来について話し合えたことがよかったのでは、と感じています。2人の長い人生は、幸先が良さそうです。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士