更新日: 2019.10.13 ライフプラン

ライフプランを考える。まずはおさえておきたい「人生の三大資金」って?

執筆者 : 浦上登

ライフプランを考える。まずはおさえておきたい「人生の三大資金」って?
人生100年時代、「95歳まで老後を過ごすためには、2000万円の貯蓄が必要だ。」との金融庁のレポートが発表されて論議を呼んでいます。ここでは、まず、ライフプランの基本について説明したいと思います。
 
ライフプランとは何でしょうか? それは人生設計といっていいと思います。そして、ファイナンシャルプランナー(FP)が扱う人生設計は経済的人生設計です。FPが個別に相談を受ける場合、顧客の方々それぞれの状況に応じたライフプランを作ります。
 
家族構成、年齢、収入、その後の人生の希望に応じて、現在から退職し亡くなるまで、その人の人生を収入と支出というキャッシュフロー(お金の流れ)で表します。
 
キャッシュフローを作ることで、その人の望みがかなえられるのか、難しいのか、今後どこを改善すればその望みが達成できるのかが見えてきます。それに応じて、FPはアドバイスを行うということになります。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
 
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
 
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
 
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。

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人生の望みとは?

人生の望みとは何でしょうか? ここで扱うのは経済的人生ですから、お金によって達成できる望みに限定することになります。
 
すなわち、オリンピックで金メダルをとる、小説を書いて芥川賞をとるといった望みではなく、30代で郊外に3LDKの家を買う、子ども2人に大学を卒業させる、50歳までに貯金を2000万円貯める等の経済的な望みに限定することになります。これは、その人の状況や人生の形態によって大きく変わってきます。
 
ライフプランで扱う典型的な例は、子どものいる結婚家庭です。自分は結婚しないということになれば、独身男性(女性)のキャッシュフローになります。
 
また、結婚しても、共働きで子どもがいない場合はDINKs(Double Income No Kids)のキャッシュフローになります。後者二者は子ども2人がいる家庭と比べると、人生の必要資金は少なく、収入を一定とすれば、可処分所得は大きくなり、キャッシュフローの内容は大きく変わります。
 
ライフプランを考える上で、重要なことは自らの人生を積極的に選び取ることです。まず、人生の出発点で経済的な人生の望みを決めて、次に、それを実現するにはどうしたらいいかを考えることです。そういう意味では、学生時代または新入社員時代に人生の望みをしっかり立てることが重要です。
 
会社で働いて、いくつまでにいくら貯める、都心の高級マンションを買って働きながら余暇を楽しむ等、人生の望みをはっきりさせ、お金を稼ぐことは望み達成のための手段であると割り切ることがライフプラン実現のための大きな原動力になるのです。
 

人生の必要資金とは?

人生には必要資金があります。これは、生まれてから死ぬまでに必要となる資金で、子どものいる結婚家庭で考えた場合、衣食等の生活費、就職費用、結婚費用、出産費用、教育資金、住宅資金、老後資金、医療費、介護費等があげられます。
 
中でも、出費が高額かつ長期にわたる「住宅購入資金」「子どもの教育資金」「老後生活資金」を人生の三大必要資金といいます。(衣食に関する生活費も金額的に大きく出費が生涯にわたりますが、経常的でかつ生きていくために不可欠な費用なので三大必要資金からは除外しています。)
 
それでは、三大必要資金のポイントをひとつずつ見ていきます。
 

住宅資金の特長

住宅購入は、最低でも数千万円はかかることがほとんどです。もちろん、立地や土地の広さ、家の大きさにより金額は変化しますが、かなり高額な出費となります。
 
大抵の場合住宅ローンを組むため、返済が生涯にわたりますし、住宅ローンの金利の支払いも発生します。この住宅ローンも、借入金額や金利、返済年数などで支払額が変わってくるため、注意が必要です。加えて、家の修繕費、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税等、大きな付帯費用が発生します。
 
ただし、不動産は親子代々の資産になり、相続の対象にもなります。
 

教育資金の特長

教育資金も支出の期間が20年程度もしくはそれ以上と長期にわたります。最終卒業学校が高校なのか、大学なのか、大学院なのか、によってかかる費用が大きく変わります。また、進学させる学校が公立なのか私立なのか、文系なのか理系なのかも学費を左右する要因のひとつです。
 
住宅資金のように資産を得ることはないものの、子どもへの投資とも考えられるでしょう。
 

老後資金の特長

老後資金は収入がなくなった後の支出であり、どれくらいの期間支出が発生するのかは寿命に左右されるため、長生きのリスクがあります。
 
公的年金にのみ頼るのではなく、引退後も他に収入源を持つか、もしくは引退までに個人年金や貯蓄で十分な資金を準備しておく必要があるでしょう。そして、老後資金はあくまで消費支出であり、住宅資金のように資産は得られず、教育資金のように投資的な性格もありません。
 

まとめ

以上、概要を見てきましたが、三大必要資金の共通点は、次の通りです。
 
・金額的に大きく、生涯の支出の中でも大きな部分を占める。
・結婚してから死ぬまでの期間の長期的な支出で、細く長く継続的にかかる。

 
今回は、ライフプランの位置づけと人生の必要資金の特長を押さえました。次回は、人生100年時代長生きのリスクについて話をしたいと思います。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー


 

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