更新日: 2024.10.07 ライフプラン
がん保険に入る前に知っておきたい「がん死亡率」。昔に比べて治りやすくなっている?
がんという病気を正しく把握するために、部位や年齢、性別ごとに死亡率をみていきましょう。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
がんで死亡する割合は?
国立がん研究センターによると、2014年における日本人のがん罹患割合(『がん保険に入る前に知っておきたい「日本人のがん罹患率」』)は、男女ともに2人に1人となっています。
しかし、がんを原因に死亡した割合となると、少しデータが異なってきます。
○生涯がん死亡リスク(2017年)
※国立がん研究センター「最新がん統計」より
国立がん研究センターの「最新がん統計(2017年)」によると、一生涯のうち、全てのがんで亡くなる割合は、男性では「4人に1人」、女性では「7人に1人」となっています。
がんにかかる割合が男女ともに2人に1人なので、これを前提に、がんにかかり亡くなる割合を単純計算すると、男性で「8人に1人(12.50%)」、女性で「14人に1人(7.14%)」となります。
部位別では、2017年時点では、男性の場合、「肺がん」・「胃がん」・「大腸がん」の割合が高く、女性では「胃がん」・「結腸がん」・「大腸がん」・「膵臓がん」・「肺がん」・「乳がん」の割合が同じ2%でもっとも高くなっています。
・がん死亡割合は、男性で「4人に1人」、女性で「7人に1人」。
・がんに罹り、亡くなる割合は、男性で「8人に1人(12.50%)」、女性で「14人に1人(7.14%)」。
・部位別のがん死亡率は、男性の場合、「肺がん」・「胃がん」・「大腸がん」、女性の場合、「胃がん」・「結腸がん」・「大腸がん」・「膵臓がん」・「肺がん」・「乳がん」で高い。
次は、年齢・性別ごとにすべてのがんに対する死亡率を見ていきます。
○年齢・性別ごとのがん死亡率(2017年)
※国立がん研究センター「最新がん統計」より
がんの罹患率(国立がん研究センター「最新がん統計2014年データ」)は、男性の場合、60歳前後あたりから高まり、女性の場合、40歳前後から緩やかに増加していきます。
一方、がん死亡率(国立がん研究センター「最新がん統計2017年データ」)は、男性の場合、65歳を過ぎたあたりから、女性の場合、75歳を過ぎたあたりから高まる傾向にあるようです。
・がん死亡率は、男性では65歳以降、女性では75歳以降で高まる傾向がある。
それでは、年齢別・部位別のがんによる死亡数の割合を見てみましょう。
○年齢別・部位別のがん死亡数(2017年)
※国立がん研究センター「最新がん統計」より
男性では、40歳以上の全年齢を通じ、「肺がん」・「胃がん」・「大腸がん」が原因で死亡する割合が高いことがわかります。
これに対し女性では、40代、50代では「乳がん」を原因に死亡する割合が高く、それ以降、年齢が上がっていくにつれ、乳がんだけでなく、「胃がん」・「結腸がん」・「大腸がん」・「膵臓がん」・「肺がん」が原因で亡くなる割合が高い傾向を見て取れます。
・男性では「胃がん」・「肺がん」・「大腸がん」が、女性では「乳がん」だけでなく、「胃がん」・「結腸がん」・「大腸がん」・「膵臓がん」・「肺がん」が原因で死亡する割合が高い傾向がある。
まとめ
・がん死亡割合は、男性で「4人に1人」、女性で「7人に1人」。
・がんに罹り、亡くなる割合は、男性で「8人に1人(12.50%)」、女性で「14人に1人(7.14%)」。
・部位別のがん死亡率は、男性の場合、「肺がん」・「胃がん」・「大腸がん」、女性の場合、「胃がん」・「結腸がん」・「大腸がん」・「膵臓がん」・「肺がん」・「乳がん」で高い。
・がん死亡率は、男性では65歳以降、女性では75歳以降で高まる傾向がある。
・男性では「胃がん」・「肺がん」・「大腸がん」が、女性では「乳がん」だけでなく、「胃がん」・「結腸がん」・「大腸がん」・「膵臓がん」・「肺がん」が原因で死亡する割合が高い傾向がある。
がんについて知っておきたいことは、がん罹患率とがん死亡率の意味が違うことです。日本人の場合、男女を問わず、2人に1人ががんに「かかる」といわれています。
しかし、一方で、がんを直接の原因として「亡くなる」割合は、男性で8人に1人、女性で14人に1人という結果が出ています。
つまり、この意味は、たとえ、がんにかかったとしても、早期発見や治療技術の進歩、薬剤の開発などで、かつてと比べると、がんは治りやすくなっているということができるかもしれません。
がんについては、事前の備えと事後の対応の両面で考えていくことが必要ですが、がんにかかる前の備えをどうするか、がんにかかった後の生活環境の変化にどう対応するか、この2つが大きなポイントといえます。
出典:国立がん研究センター「最新がん統計」
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)