更新日: 2024.10.07 その他家計
貯蓄上手な人が知っている【自分サイズの支出】とは
そこで、今回はその基準の確認方法をお伝えします。
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント
「お金しだい」の人生から「自分しだい」の人生への選択をサポート。家計相談28年、相談件数4,000件超。家計相談と合わせて、その方の才能や適職を診断し潜在能力を高める「咲かせようじぶん資産」をテーマに個人セッションとワークショップを開催。
目次
支出は放っておくと収入に比例して増える
ムダ使いしているつもりはないのに支出が減らない、と感じることはありませんか。収入が満足できる金額になれば解決するかというと、案外そうでもありません。
相談現場でさまざまな年収の方にお会いしますが、支出額はおおむね年収に比例します。特に住居費や教育費は、年収が高いほど、かける金額も増える傾向にあります。
つまり、意識的に支出を振り返らなければ、収入の増加はそのまま支出の増加につながってしまうのです。
お金は「他人の目線」で使っている
なぜ支出は増えるのでしょう。それは、私たちが「他人の目線」でお金を使っているからです。よほど気をつけないと、他人(しかも同僚、きょうだい、ご近所といったごく身近な人)の生活水準に合わせようとします。
さらに、周囲の水準より少し上にいることが、精神的な安定につながるのです。だからこそ、収入が上がれば、同じ収入群の支出レベルに無自覚に合わせてしまいます。
今はSNSで、自分より少し上の水準の支出をしている人を、簡単に見つけることができます。時々立ち止まり、自分の気持ちに軸を置いた支出に戻していくことが肝要です。
支出の基準を2つに分ける
では、支出を自分サイズの基準に再構築するには、どうしたらよいでしょう。それは、お金を使う対象を「外から見えるもの」と「見えないもの」の2つに分け、より後者に予算を割くことです。
「外から見えるもの」とは、家や車、服飾品など。さらには、ステータスのある進学先に子どもを通わせるため、必要以上に使う教育費も入ります。これらは、収入や社会的地位をわかりやすく象徴しているため、お金をつぎ込みがちです。
「私はそんな見栄っ張りではない」とおっしゃる方でも、皆と同じ水準に入ることで安心を得ることはあるでしょう。そうした心理から「外から見えるもの」を求めるのも、根は同じです。
それに対して「見えないもの」は、安全や自由時間、保険、貯蓄、レジャーなどです。「外から見えるもの」を得たときよりも、幸せが長く続くといわれています。にもかかわらず、私たちはこれらの支出を、むしろケチる傾向にあるそうです。(※)
自分基準で支出を選びなおす
そこで、「見えないもの」に優先的にお金を使うようにすれば、より幸せと満足がもたらされます。例えば、次のようなことをしてみてはいかがでしょうか。
・外出着より室内着にこだわる
・家は中古でも内装にこだわる
・お金をかけず楽しい経験をする方法を考える
・無理のない金額で積み立てを始める
・自分ひとりの時間を、少しでいいから定期的にとる
自分サイズの支出額を知る
さらに、どの程度お金をかけるか決めるときには、自分の心地よさに目を向けるとうまくいきます。
例えば、あなたが最後の晩餐で食べたいものは何ですか。それが、あなたのベーシックな食費や生活の水準です。
プライベートな空間での衣食住に対して、心が痛まず支出できる金額はいくらでしょうか? こうした金額を基準にして、自分の価値観とあった支出を心がければ、生活の満足度は上がります。
支出を整理する時間を確保する
最後に、もっとも大切なのは、自分の心地よさを再認識するための時間を、あえて確保することです。スマホやPCのない、アナログな環境に身を置いて、リラックスできる時間の中で取り組めば、自分や家族にとって必要なものはそれほど多くないと、自然に実感できるはずです。
出典
(※)『幸せとお金の経済学』ロバート・H・フランク著(フォレスト出版)
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント