太陽光発電の「売電収入」が10年前の半分以下に激減…。増やす方法はない?
配信日: 2025.06.19

10年前とは太陽光発電の収益モデルが変わりつつある今、太陽光発電はどのように活用すればいいのでしょうか。
本記事では、売電収入が減少している理由と、収入低下に対する改善策について解説します。

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太陽光発電の売電収入が減る理由
太陽光パネルの売電収入が減っている背景には、制度変更や設備の経年劣化など、複数の要因が考えられます。
FIT価格が下落しているため
過去と比較して売電収入が減少している要因の一つは、FIT制度(固定価格買取制度)における買取価格が下落していることです。
FIT制度は売電収入を保証し、初期投資のかかる再生可能エネルギー発電を普及させることを狙いとした制度です。しかし太陽光パネルの設置費用の低下に伴い、表1の通り買取価格も下落を続けています。
表1
年度 | 1キロワット時あたりの調達価格 (10キロワット未満) |
調達期間 | |
---|---|---|---|
出力制御対応機器設置義務 | |||
なし | あり | ||
2016年度 | 31円 | 33円 | 10年間 |
2017年度 | 28円 | 30円 | |
2018年度 | 26円 | 28円 | |
2019年度 | 24円 | 26円 | |
2020年度 | 21円 | ||
2021年度 | 19円 | ||
2022年度 | 17円 | ||
2023年度 | 16円 | ||
2024年度 | 16円 | ||
2025年度 (4月~9月) |
15円 |
出典:経済産業省資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2012年度~2024年度)」を基に筆者作成
FITによる買取期間が終了しているため
FITでは、10キロワット未満の太陽光発電の場合、導入から10年間が固定価格での買取期間とされています。この期間を過ぎると、電力会社との個別契約への移行が必要です。
例えば、東京電力エナジーパートナー株式会社「再エネ買取標準プラン」での買取単価は、1キロワット時あたり税込み8.5円です。FIT価格が2025年度は15円であるため、FIT終了後は価格が大きく下落することが分かります。
発電量が低下しているため
太陽光パネルの発電量が減少することによって、売電収入が低下している可能性もあります。
太陽光パネルの寿命は、一般的に約20〜30年です。しかし、精密機械である太陽光パネルは、年数がたつにつれて徐々に性能が劣化していきます。
さらに、太陽光パネルに付着したほこりや汚れ、成長した樹木の影などによっても発電量は影響を受けます。時間の経過とともに収益性が低下するといえるでしょう。
売電収入低下への対策
10年前のような売電収入を確保することが難しくても、太陽光発電を無駄なく生かす方法はいくつかあります。ここでは、具体的な改善策を2つご紹介します。
リパワリングの実施
「リパワリング」とは、既存の太陽光発電システムの性能を向上させるために、古くなった機器を最新機種に交換する手法です。10年以上前に設置した太陽光発電設備は、最新仕様と比べて性能面で劣ることが多く、機器の更新で発電量が10%以上改善できる場合もあります。
初期投資は必要ですが、電力価格の高騰も踏まえると、中長期的には費用対効果のある対策となる可能性があります。
自家消費への切り替え
もう一つの対策は、売電から自家消費に切り替えることです。具体的には、以下のような消費方法があります。
・家庭用蓄電池を購入して、昼間に発電した電気を夜間に使用する
・電気自動車に充電して、自動車の動力や家電製品の電力として活用する
売電価格が低下する一方で、電気料金が値上がりしている現状では、売電するよりも自家消費する方が経済的なメリットが大きくなる可能性があります。
蓄電池や電気自動車を導入することで、昼間の電気を夜間に回せるようになり、太陽光発電の価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
売電収入の低下にはリパワリングや自家消費が有効
FITの買取価格下落や買取期間の終了といった外的要因によって、過去と同じような売電収入を維持することは難しくなっています。
今後はリパワリングによる発電量の改善や、売電から自家消費への切り替えなど、今ある太陽光発電設備を有効活用することが重要です。
出典
経済産業省 資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2012年度~2024年度)
東京電力エナジーパートナー株式会社 再エネ買取標準プラン
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー