会社支給の「通勤定期」で週末に映画館へ。私用利用ってアリ? NGな場合「返金義務」はある?
配信日: 2025.06.18

こうした私用での利用が問題視されることはないのか、疑問に思う方もいると思われますが、NGとされた場合には定期代を返金しなければならない可能性もあります。
そこで本記事では、通勤定期券の私用利用に関するルールや返金義務について解説します。

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通勤定期券の私用利用は問題ない?
通勤定期券は、本来、会社が従業員の通勤費用を補助するために支給するものです。そのため、基本的には「自宅から職場までの通勤」に使うことが前提です。
しかし、実際には週末や仕事帰りに映画館に立ち寄ったり、ショッピングに出掛けたりと、通勤経路上で私用利用するケースも見られますが、通勤定期券の私用利用について、法律上明確に禁止されているわけではありません。
そのため、多くの企業では黙認または暗黙の了解とされていることが多いといえます。
ただし、会社によっては就業規則や社内規定で通勤定期券の私用利用を明確に禁止している場合があります。私用利用が許されるかどうかは、企業ごとの方針によって異なるため、自社の規定を確認することが重要です。
また、通勤定期券は、同一路線内であれば利用回数に関係なく一定料金で利用できますが、鉄道会社側の利用規則で「通勤定期券は通勤のための利用に限る」と定められている場合があります。
そのため、私用利用が必ずしも認められているわけではありません。法律上の罰則はありませんが、会社や鉄道会社の規定に反する場合があります。
私用利用がNGとされるケースとその理由
通勤定期券の私用利用がすべて認められるわけではありません。ここでは、どのような場合にNGとされるのか、またその背景にある理由について見ていきましょう。通勤定期券の私用利用がNGとされる主なケースは、以下の通りです。
1つ目は、「会社の規定で禁止されている場合」です。例えば、私用利用によるトラブルや不正利用を防ぐために、通勤以外の目的での使用を全面的に禁止している会社もあります。業務と無関係な行動によってトラブルが発生した場合、会社の信用問題に発展する可能性もあるからです。
2つ目は、「通勤経路の虚偽申告」です。実際にはより短い経路で通勤しているにもかかわらず、より高額な定期券を申請し、その差額を私用に充てるようなケースは不正行為とされます。こうした不正が発覚した場合、会社側からの信用を失うだけでなく、重大な処分を受ける可能性もあります。
3つ目は、「通勤手当の不正受給」です。例えば、在宅勤務が中心でほとんど出社していないにもかかわらず、通勤定期券を購入し、私用利用する目的で通勤手当を受け取っている場合などです。実際には通勤していないのに会社から手当を受け取っていることになり、これは明確な不正受給となります。
これらの行為は、会社に対する背信行為と見なされ、懲戒処分の対象となる可能性があります。特に虚偽申告や不正受給は、悪質なケースでは詐欺罪や横領罪に問われるリスクもあります。実際に、社内調査の結果これらの不正が明らかになり、警察に通報されるケースも存在します。
返金義務が生じる場合とは?
私用利用が会社の規定に違反している場合や、通勤経路を偽って定期代を過剰に請求していた場合、会社から返金を求められることがあります。このようなケースでは、過去にさかのぼって不正に受け取った通勤手当を返還しなければならないこともあります。
返金額は、会社の規定や不正の程度によって異なりますが、数ヶ月分の通勤手当が一括で請求されることも珍しくありません。また、始末書の提出や減給といった懲戒処分と合わせて求められることもあります。
こうした対応は、企業が従業員の不正に対して厳しく対応する姿勢を示す意味でも重要とされています。
さらに、会社によっては、私用利用の疑いがある場合に調査を行い、不正が明らかになった場合には法的措置をとることもあります。したがって、「バレなければ大丈夫」という考え方は非常に危険です。
不正利用が発覚すれば、金銭面だけでなく、職場での信頼やキャリアにも深刻な影響を及ぼすことになります。
通勤定期券の私用利用について
通勤定期券の私用利用は一概に違法とはいえませんが、会社の規定や方針によってはNGとされることがあります。
また、不正な申請や受給がある場合には返金義務が発生するほか、懲戒処分や法的責任を問われる可能性もあるため注意が必要です。私用利用について迷ったら、まずは就業規則や社内マニュアルを確認し、不明点があれば上司や人事部門に相談するのがよいでしょう。
定期券は便利なツールである一方で、その利用には一定のルールが伴います。適切な使い方を心掛けることで、余計なトラブルを防ぎ、安心して通勤生活を送ることができるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー