今年4月に中途入社した会社では「固定残業代込み」と言われましたが、私は毎日定時で退勤しています。このまま受け取っていて大丈夫なのでしょうか?

配信日: 2025.06.16

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今年4月に中途入社した会社では「固定残業代込み」と言われましたが、私は毎日定時で退勤しています。このまま受け取っていて大丈夫なのでしょうか?
給与明細に「固定残業代○時間分を含む」と書かれているのに、実際には残業をしていない――そんなとき、「この残業代って本当に受け取っていいの? 」と疑問に思ったことはありませんか?
 
固定残業代は便利な制度のようでいて、内容を正しく理解していないと、損をしたり、不安になったりすることも。この記事では、固定残業代の基本から、残業ゼロでももらえる理由、そして注意しておくべき落とし穴まで、わかりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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固定残業代ってどんな仕組み? 実は「残業しなくても支給される」理由

固定残業代(みなし残業代)とは、あらかじめ一定時間分の残業代を月給に組み込む制度です。たとえば「月30時間分の残業代を固定で5万円支給」といった形で、実際に30時間残業したかどうかに関係なく、毎月定額で支払われます。
 
ただし、この制度は労働契約や就業規則で明確に定める必要があります。なぜこのような制度があるのかというと、企業側にとっては毎月の残業時間の計算が不要になり、給与計算を簡素化できるメリットがあるためです。
 
また、従業員にとっても、残業代が一定額で保障されることで生活設計がしやすくなるという面もあります。ただし、この制度が成り立つのは「労働契約書や就業規則に明記されていること」「残業代部分が明確に分かれていること」が条件です。もし記載が不十分であれば、後々トラブルの原因になります。
 

残業ゼロでも受け取ってOK? 法律と契約から見る“正当な支給”

では、実際に残業をしていない月でも固定残業代を受け取って問題ないのでしょうか?
 
答えは 「基本的には問題なし」です。固定残業代は『実労働時間に応じた報酬』ではなく、『あらかじめ契約で定めた時間分の残業代を毎月一定額を支払う』という仕組み。つまり、残業がなかったとしても、契約通りなら支払われて当然なのです。
 
たとえば、あなたの雇用契約書に『毎月30時間分の固定残業代として5万円を支給』と明記されていれば、残業をしなかった月もその5万円を受け取れます。ただし、注意したいのは以下の2点です。


・契約書に固定残業代の内訳(時間数と金額)が明示されているか?
・固定時間を超える残業をした場合に、追加で残業代が支払われているか?

これらが守られていないと、不当な給与体系である可能性があります。
 

実は損してる? 固定残業代で気をつけたい3つのポイント

固定残業代は一見すると便利な制度ですが、気づかないうちに損をしていることもあります。以下の3つは特に注意しておきたいポイントです。
 

1.超過分の残業代が支払われない

たとえば固定残業代が「30時間分」だったとして、40時間働いた場合。差額の10時間分は追加で支払われる必要があります。これが支払われていない場合は違法の可能性があります。
 

2.基本給が極端に低くなることがある

企業によっては、「基本給を下げて、固定残業代で給与をかさ上げする」というケースがあります。
 
これにより、賞与や退職金の計算額が下がることがあるので要注意です。多くの会社ではこれらは基本給をもとに算出されるためです(ただし、会社の規定によっては固定残業代も含む場合もあるので、就業規則等の確認が必要です)。
 

3.実態に合っていないとトラブルに発展

固定残業代は契約で定めた時間分の残業代を支給するものであり、実際に残業がなくても支給されるのが原則です。ただし、固定残業代の金額が実態とかけ離れて高額だった場合や、そもそも固定残業代として認められない運用をしている場合にはトラブルになる可能性があります。
 
また、「残業がない月が続くなら、その分は給与を下げる」と言われるケースもありますが、これはあくまで契約変更になるため、労働者の同意が必要です。
 

正しく知って安心! 固定残業代とうまく付き合うために

固定残業代は、労働者にも会社にもメリットがある制度ですが、きちんと運用されていないと不利益を被ることもあります。だからこそ、以下のポイントを押さえておくことが大切です。


・契約書を確認すること

「何時間分」「いくら」かが明記されているかをチェック。
・給与明細の内訳を理解すること
基本給と固定残業代の区別が明示されているかを確認。
・必要に応じて相談すること
不明点があれば、労働基準監督署や弁護士に相談を。

残業ゼロでも固定残業代は正当に受け取れる――これは正しい認識です。ただし、「制度の中身を理解し、自分の労働環境に合っているか」を確認することが、自分を守る第一歩です。
 
疑問を持ったら遠慮せず確認し、納得のいく働き方を選んでいきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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