夫は営業で「年収600万円」ですが、ノルマがきついので年収500万円の“工場”に転職したいとのこと。私もパートで「年100万円」稼いでいるので、家計は問題ないですよね…?
配信日: 2025.06.13

転職を成功させるなら、気になる仕事内容の詳細や、営業と比較した年収の違いなどを知っておくことが大切です。本記事では製造の仕事内容や平均年収、営業から製造に転職することのメリットなどを解説します。

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目次
製造(オペレーター)の仕事内容
製造業のオペレーターといっても、工場で何を作っているかによって仕事内容は非常に幅広くなっています。今回は「金属加工品を製造する工場のオペレーター」を例に、仕事内容を解説します。
製造現場(工場)ではさまざまな機械が昼夜稼働しており、事前にプログラムした通りに金属を加工して次の工程に回していきます。機械はプログラム通りに金属を加工しますが、全てが自動ではありません。
金属加工をする工具がすり減ってくれば交換したり、製造する部品の形状によって機械を操作したりする人間が必要です。
材料を機械に装填したり、必要なデータの入力や制御をしたりするのが「マシンオペレーター」です。また機械の監視やメンテナンスを中心に担当する「製造オペレーター」もいます。
そのほか、製品の作成をするために必要不可欠な図面を作成するのが「CADオペレーター」です。2次元や3次元のCADというソフトを利用して図面を作り、製造現場ではその図面をもとに製造します。
製造オペレーターの平均年収
国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」によると、製造業の平均年収は533万円です。平均給与・手当の年間合計が430万円、年間賞与103万円がその内訳です。
一方、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると製鉄・製鋼・非鉄金属製錬従事者の平均月収は35万3500円、賞与は年間104万6700円のため平均年収は約530万円です。
年収600万円の営業職から転職した場合、平均して70万円程度の年収ダウンになる可能性はあります。未経験で勤続年数が短いことも加味すると、実際には100万円以上の年収ダウンになるかもしれません。
営業から製造への転職は、平均年収が下がるがメリットも多い
年収ダウンの可能性があると、転職に躊躇してしまうかもしれません。ただ、製造業の働き方には営業と比較したメリットもあるため、転職すべきかどうかは金銭面以外の条件も加えて、総合的に判断することをおすすめします。
営業職が高年収な理由の1つが「インセンティブ」の存在です。契約金額の一部が給与に反映され、成績次第で給与が高くなる企業もあります。一方、顧客獲得や売り上げなどの目標が達成できないとインセンティブが得られず、毎月の給与が大きく変動する可能性もあるでしょう。
一方の製造業のオペレーターの場合、工場が稼働する日数や時間に合わせ、一定の出勤時間と退勤時間のなかで働くことになります。給与にインセンティブの設定が少ないのが一般的で、働いた時間が長ければ残業代が支給されます。
インセンティブによる高年収の期待は薄い一方、毎月安定した給与が得やすい点がメリットです。
一時的に年収が下がっても再度上げられる可能性がある
製造業に限った話ではありませんが、未経験の職種に転職すると一般的に年収は下がります。インセンティブで給与が変動するタイプの営業から製造業に転職すると、一時的に大きく収入ダウンになる可能性もあります。
ただし、製造オペレーターとして長く働けば、さまざまな方法で給与アップが可能です。例えば経験を積んで良品の生産率を上げたり、不良品の発生率を下げたりできるようになれば考課に反映され、現場のリーダーや主任といった役職に昇進して年収アップできる可能性があります。
また、製造現場で必要とされる資格を取得することで資格手当がつき、営業との年収差を埋めることも可能でしょう。
年収100万円下がっても家計は大丈夫?
転職後は勤続年数が長くなったり資格手当を得たりすれば前職との年収差がほぼなくなることも考えられますが、転職当初の年収減が不安な人もいるでしょう。
今回は夫が営業職から製造オペレーターに転職して年収が600万円から500万円に下がり、妻が年100万円のパート収入を得ているケースで生活に問題がないかを確認してみます。
総務省の家計調査によると、勤労者世帯で3人家族の場合、毎月の「実支出」の平均は約43万3000円、年間支出は約520万円です。
年収500万円の製造オペレーターですが、転職したてであれば賞与は支給されない可能性もあるので今回は除外します。すると平均給与と手当の合計は430万円なので、月の給与平均は約35万8000円です。
年間100万円(月約8万3000円)のパート収入があれば、実支出と夫の収入の差額である年90万円(月約7万5000円)を埋められます。あくまでも平均の試算ですが、今回のケースでは夫の年収500万円と妻のパート収入100万円で生活を送ることはできると計算できました。
ただし、上記はあくまでも平均の試算であり、本当に家計に問題ないかは実際の支出と収入からシミュレーションしましょう。
まとめ
公的なデータでは製造業の平均年収は530万円であり、年収600万円の営業職だった人が転職すると70万円ほど、営業時代のインセンティブ次第では100万円以上の年収ダウンになる可能性もあります。
ただ、工場が稼働するカレンダー通りの休みになったり、インセンティブに関係なく一定の給与を得られたりといったメリットもあります。
勤続年数が長くなったり資格手当を得たりすればさらに年収差が縮まる可能性もあるため、転職して生活レベルを保つことは十分に可能でしょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー