米5キロが「4000円以上」はいつまで続くの? “備蓄米”を放出しても価格が下がらないワケとは?

配信日: 2025.06.12

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米5キロが「4000円以上」はいつまで続くの? “備蓄米”を放出しても価格が下がらないワケとは?
「米の値段がなかなか下がらないけど、いつまで高騰が続くの?」と不安に思っている人もいるでしょう。
 
2025年5月時点で、政府はトータルで60万トン以上の備蓄米の放出を決定しましたが、米の価格高騰の出口が見えているとはいえません。
 
この記事では、備蓄米の役割や米価高騰の原因、今後の価格の見通しを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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備蓄米とは

備蓄米とは、大規模災害や不作などによる食糧不足に備え、日頃から蓄えられているお米のことです。政府によって備蓄され、管理・供給されている備蓄米は特に「政府備蓄米」と呼ばれています。
 
政府は常時、100万トン前後の備蓄米を保管しているとされています。これは、日本国内における米の年間消費量のおおよそ1ヶ月~1ヶ月半分に相当する量です。
 
政府備蓄米の流通は政府によって厳密に管理されており、私たちが個人で購入することはできません。災害などで食糧確保が難しく、「緊急事態につき食糧供給の安定性確保が必要」と判断された場合に備蓄米が供給されるのが一般的な流れです。
 
2025年の場合、長引く米価格の高騰をおさえるため、政府主導で備蓄米が市場に放出されました。
 
このように、政府備蓄米は災害や不作にともなう食糧確保だけでなく、市場経済を安定させる役割も担っています。
 

米の価格推移

米の価格はここ数年で急激に高騰しています。
 
東京都区部に限っても、総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)」によれば、コシヒカリ1袋(5キログラム)あたりの価格は2018年平均では2451円だったのに対し、2024年の時点で平均2951円となっており、平均だけを見ても500円の値上がりです。
 
また、農林水産省の「米の流通状況等について スーパーでの販売数量・価格の推移」によれば、令和7年5月26日の週における米5キログラムの販売価格は、全国平均で4223円です。これは前年5月27日~6月2日の2136円と比較して約2倍の価格上昇となります。
 
さらに、総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国2025年(令和7年)4月分」によれば、食料品全体の指数において、2020年の指数を100とした場合、2025年4月分では124.0となっており、暮らしに直結する食品の値上がり幅が大きいことが分かります。
 
このように、米の価格は近年例を見ないほど急激に上昇しており、高騰の出口が見えにくいのが現状です。
 

米の価格が下がらない理由

政府による備蓄米放出がメディアでも取り上げられる一方、それだけでは米の価格は下がらない、という見方も根強く残っています。
 
ここでは、備蓄米が放出されても米の価格がなかなか下がらないおもな理由を解説します。
 

減反政策の影響が残っている

「米の生産量を増やしにくい」ことが価格高騰がおさまらない大きな原因とされています。
 
日本では1970年から2018年の廃止まで、米の生産量を調整する「減反政策」が実施されてきました。減反政策では米の作付面積の削減をめざし、ほかの農作物への転用に対して補助金が出されるなど、米の生産量をおさえる代わりに農家の所得を保障する政策が続きました。
 
減反政策はもともと、戦後の食糧難克服のために増やしすぎた米を減らすために導入されました。米の生産量が増えると市場の需給バランスが崩れ、価格が下落し、農家の収入が減ってしまいます。農家を保護することで米の生産を安定化させ、食糧難から国民を守ることが政府の役割でした。
 
減反政策は2018年に打ち切られましたが、一度減った米の生産量を回復させるのは簡単ではないでしょう
 
このように、減反政策終了後も米の生産量が増えない状況が続き、2024年からの米価高騰につながっているという見方もあります。
 

新規参入が難しい

米の生産量が増えない根本的な原因として、「新規参入が難しい」点も挙げられます。
 
農業は専門的な知識や経験が問われるほか、販路拡大には人脈も必要です。
 
特に小規模では収入がなかなか安定せず、専業農家として新規参入するのはハードルが高いといえるでしょう。
 

米の価格高騰は今後も続くと予想されている

政府は、災害などの食料不足に備えて日頃から備蓄していた政府備蓄米を放出しました。しかし、米の価格の高騰は、今後もしばらく続くと見られています。
 
長期にわたって続けてきた減反政策や、農業の新規参入の難しさなどによる、「米の生産量の減少」という根本的な問題が解決されていないからとの見解もあります。
 
価格が落ち着くまではパンなどの小麦製品で代用するなどして、物価高から家計を守りましょう。
 

出典

e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編) 調査品目の年平均価格-都道府県庁所在市及び人口15万以上の市(2000年~)
農林水産省 米の流通状況等について スーパーでの販売数量・価格の推移 (POSデータ全国)(令和7年6月9日)
総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)4月分(2ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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