40歳になり、老後資金「2000万円」に向け「月8万円」貯金を始めました。妻に「家計が厳しい…」と言われたのですが、そのくらい貯めないと厳しいですよね?

配信日: 2025.06.11

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40歳になり、老後資金「2000万円」に向け「月8万円」貯金を始めました。妻に「家計が厳しい…」と言われたのですが、そのくらい貯めないと厳しいですよね?
「老後に2000万円は必要」と聞き、不安になっている方も多いと思います。将来への備えとして、思い切って毎月8万円を貯金し始めたけれど、家計はギリギリ。でも、その2000万円、本当に必要なのでしょうか?
 
本記事では、その根拠となったデータや最新の統計を基に「実際に必要な老後資金」について見直していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後に「2000万円」が必要と言われる理由

「老後には2000万円が必要」とよく耳にしますが、この数字はどこから出てきたのでしょうか。その出所は、2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」だとされています。
 
この報告書には「20年で約1300万円、30年で約2000万円の資産取り崩しが必要になる」と明記されていたため、大きな話題となりました。この試算の基になったのは、総務省統計局が2017年に発表した「家計調査年報」にある「高齢夫婦無職世帯の家計収支」です。
 
この調査によると、夫が65歳以上・妻が60歳以上の無職の夫婦世帯では、月々の実収入が20万9218円であるのに対し、実支出は26万3717円のため、家計は毎月5万4519円のマイナスになると想定されています。
 
そのため、公的年金の受給が始まる65歳から約30年間を老後とした場合、次のようなシミュレーションで老後資金が算出されます。
 
5万4519円×12ヶ月×30年=1962万6840円
 
このようにして、老後に必要な資金は約2000万円という試算が導き出されているのです。
 

本当に必要な金額は?

「高齢社会における資産形成・管理」の報告書は2017年時点のデータに基づいた試算であり、現在の状況とは異なる可能性があります。そこで、「家計調査2023年度」を見てみましょう。ここでは、無職の高齢夫婦世帯の月々の実収入は24万4580円、実支出は28万2497円とされており、毎月の不足額は3万7917円です。
 
この金額で老後30年間を見積もると、3万7917円×12ヶ月×30年=1365万120円となります。
 
つまり、上記のデータに基づいて試算すると、老後に必要な金額は約1365万円となります。これは、かつての試算で導き出された約1962万円と比べて、597万円ほどの開きがあります。
 

ただし、急な出費に備えて貯蓄は必要

このように、2024年の家計調査を見ると、老後に必要とされる資金はかつて話題になった「2000万円問題」の約6割程度であることが分かりました。とはいえ、これはあくまで日常生活にかかる平均的な支出に基づいた金額です。
 
実際には、冠婚葬祭や自宅のリフォーム、車の修理費といった突発的な支出が発生することもあるでしょう。また、お子さんの教育費や生活費の援助が必要になる場面も考えられます。
 
たとえ2000万円もの資金が不要だったとしても、貯蓄はやはり大切です。固定費の見直しや、副業を通じて収入を増やすことも貯蓄につながります。また、退職金や投資などの資産をどう生かすかも、老後の安心につながる重要なポイントです。
 

夫婦共働き世帯の「貯蓄割合」はどのくらい?

「ほかの家庭は、どれくらいの割合を貯蓄に回しているのだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか。金融広報中央委員会が発表した2023年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、全体の33.8%の世帯が年間手取り収入からの貯蓄割合について「貯蓄をしなかった」と答えており、これが最も多い割合となっています。
 
次いで多かったものが「10~15%未満を貯蓄に回している」という世帯です。仮に「手取りの10%を貯蓄に回す」とした場合、月に8万円の貯金をしようと思えば、世帯の手取り収入は80万円が必要になります。
 

「2000万円問題」に振り回されず、自分たちの老後設計を

老後に「2000万円が必要」と言われる中で、不安から多額の貯金を始める方もいるかも知れません。ですが、2023年のデータを基に試算すると、実際に必要な額は1365万円ほど。計画的に貯蓄すれば、老後資金として準備できる可能性があります。
 
もちろん、急な出費や生活の変化に備えるための貯蓄は欠かせません。しかし、大切なのは「自分たちにとって無理のないペース」で積み立てることです。固定費の見直しや副業・退職金・投資の活用など、できることから取り組めば、もっと現実的な老後設計も可能です。
 
自分たちの生活に合った備え方を見つけていきましょう。
 

出典

総務省統計局 2017年 家計調査年報(28ページ)
金融庁 金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支-2023年-(18ページ)
金融広報中央委員会 2023年 家計の金融行動に関する世論調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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