給料を時給換算したら「最低賃金」と変わらないことが判明…!責任の軽いパート・アルバイトの方が「コスパ」が高いのでしょうか?

配信日: 2025.06.05

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給料を時給換算したら「最低賃金」と変わらないことが判明…!責任の軽いパート・アルバイトの方が「コスパ」が高いのでしょうか?
正社員として責任を背負って働いても、時給換算で非正規雇用者とあまり差がないとすれば、モチベーションの低下につながりかねません。本記事では正社員とパート・アルバイトの「コスパ」について、時給換算の仕組みも交えて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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正社員の平均給与は「530万円」、正社員以外では「202万円」

国税庁の公表した「令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」によると、給与所得者の平均給与は「460万円」で、内訳は以下の表1のようになります。
 
表1

男性 女性 男女計
全体平均 568万5000円 315万8000円 459万5000円
正社員(正職員)の平均 593万6000円 412万8000円 530万3000円
正社員(正職員)以外の平均 268万5000円 169万1000円 201万9000円

国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を基に筆者作成
 
単純に平均値だけを見れば、正社員(正職員)はパート・アルバイトの給与水準に2倍近い差をつけており、同じ内容で同じ時間働くのであれば「正社員」の方が圧倒的にコスパがいいと思えます。
 

「コスパ」を見るなら時給換算の計算式も考慮する必要がある

上記の大差をもってしても、時給換算すると「最低賃金近く」に近づいてしまう正社員がいるのは一体なぜなのか考えてみましょう。一般的な時給換算の計算方法は以下のようなものです。

(1)(月給総額-計算に含めない手当※)×12
(2)(1)の結果÷1年間の所定労働日数
(3)(2)の結果÷所定労働時間

※通勤手当、家族手当の他、時間外・休日労働手当、深夜勤務手当、その他臨時で発生する賃金など

この計算式では職務手当・役職手当・資格手当といった時給計算に含めることが可能な手当以外は、(1)の時点で除外されます。そのため、総額に含めることのできない諸手当や時間外勤務の割合が多い職場の場合、時給換算した賃金が、実際の金額をベースに計算する場合よりも低く算出されるケースが考えられます。
つまり俗に「ブラック企業」と呼ばれるような企業で働く、例えば長時間残業が常態化している正社員の場合、給与水準が同程度の「ホワイト企業」と比べ、時給換算の給与が低くなる可能性がある一例といえます。場合によってはパート・アルバイトの給与水準や、最低賃金に近づく場合もあるでしょう。
 

最低賃金を下回るのは「最低賃金法違反」

時給換算の結果が「最低賃金と変わらない」場合はともかく、明確に「最低賃金を下回っている」場合は問題です。厚生労働省ホームページ内「労働者と最低賃金制度 よくあるご質問Q2」においては、「最低賃金を下回る場合、法律上最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされますので、最低賃金額に満たない不足分を請求することができます。まずは最低賃金を下回っている旨を使用者と話してみることをお勧めします」との文言があり、使用者と話をしても解決しない場合は、最寄りの労働基準監督署への相談を推奨しています。
最低賃金は地域別で定めが異なるほか、職業訓練中や試用期間など一部の労働者には適用されないケースが存在するため一概には言えませんが、明らかに時給が地域別最低賃金を下回っており、自分だけではどうにもならないと感じた場合は、外部の機関を頼ることも考慮に入れておきましょう。
 

まとめ

基本的には正社員のほうが高い傾向にある給与ですが、時給換算するとパート・アルバイトへの転向を考えてしまうほど低水準の場合、労働環境や責任、精神的負荷まで考慮に入れた「コスパ」に関しては良好とは言い難い可能性もあります。また、最低賃金を下回る場合は法令違反の可能性もありますので、しかるべき部署や機関に相談しましょう。
 

出典

国税庁
令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告- (14ページ)

厚生労働省 労働者と最低賃金制度 よくあるご質問Q2
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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