10年働いた会社を今年で退職予定!「退職金」ってどのくらいもらえるのでしょうか?

配信日: 2025.06.04

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10年働いた会社を今年で退職予定!「退職金」ってどのくらいもらえるのでしょうか?
会社に勤めている方は、いずれ何らかの理由で会社を退職することになります。働き方やそれに対する考え方が多様化している昨今においては、転職のために退職する方も多いかもしれません。
 
会社によっては、退職時の状況次第で退職金が支払われることがあります。まとまったお金を得られるため、退職金について気になる方は多いでしょう。そこで本記事では、退職金について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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企業規模別の平均退職金額

退職金の金額が人によって異なることは言及するまでもありませんが、退職金の金額はさまざまな要素によって決まります。
 
以下に、退職金の金額に関係する代表的な要素をまとめました。

●企業規模
●勤続年数
●退職事由
●学歴

細かな退職の理由は人それぞれでしょうが、退職事由は「会社都合」か「自己都合」の2種類に大別されます。一般的には、自己都合よりも会社都合のほうが支払われる退職金は多くなる傾向にあります。場合によっては、数百万円の差があることも珍しくありません。
 
ここからは、自己都合で退職する場合における退職金額の平均を企業規模別に解説します。
 

大企業における退職金の平均

中央労働委員会の「賃金情報等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」を参考に、大企業における退職金額の平均を学歴別で図表1にまとめました。なお、退職事由は自己都合です。
 
図表1

大学卒 短大・高専卒 高校卒
勤続10年(自己都合での退職) 182万8000円 142万1000円 133万6000円
勤続15年(自己都合での退職) 402万7000円 311万8000円 287万1000円

出典:厚生労働省 中央労働委員会「賃金情報等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」より筆者作成
 
「大企業」という言葉に明確な定義は存在しませんが、多額の資本金を有しており、多くの従業員を雇用している企業のことを大企業と呼びます。一般的には、資本金が3億円以上である企業を大企業とすることが多いようです。本調査では、「資本金が5億円以上かつ労働者が1000人以上」の企業を調査対象としています。
 
学歴ごとの退職金の平均額を見てみると、勤続年数が同じであれば、短大・高専卒と高校卒にそれほど大きな差はありません。しかし、大学卒と比較すると、その差はやや大きくなっています。
 
10年から15年と勤続年数が1.5倍になると、退職金の平均額はどの学歴でも2倍以上になります。このことから、勤続年数が退職金の金額に与える影響が大きいことが分かるでしょう。
 

中小企業における退職金の平均

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」を参考に、中小企業における退職金額の平均を学歴別で図表2にまとめました。なお、退職事由は自己都合です。
 
図表2

大学卒 短大・高専卒 高校卒
勤続10年(自己都合での退職) 112万5000円 102万1000円 98万5000円
勤続15年(自己都合での退職) 209万3000円 185万6000円 190万3000円

出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」より筆者作成
 
中小企業における退職金の平均額は、大企業に比べれば、学歴による金額差は大きくありません。むしろ、勤続15年においては、短大・高専卒よりも高校卒のほうが金額は大きくなっています。勤続年数による違いも大企業ほど大きくはないものの、どの学歴においても勤続年数が5年増えることで、退職金の平均額は2倍前後になっています。
 
同じ勤続年数、学歴で大企業と中小企業における退職金の平均額を比べてみると、どの学歴でも勤続10年の場合は数十万円、勤続15年の場合は100万円近くかそれ以上の差があります。
 
以上のことから、退職金の金額は勤続年数や学歴のほか、所属する会社の企業規模も大きく関係していることが分かりました。
 

退職金に税金はかかる?

結論からいえば、退職金にも税金がかかります。ただし、退職金は税制上「退職所得」として分離課税の対象であり、ほかの所得に比べて優遇されているので、あまり心配する必要はありません。
 
また、退職金に対する課税においては「退職所得控除」があります。退職所得控除額が額面での退職金額を上回った場合は、税金を納める必要はありません。
 
退職所得控除額を算出するための計算式は2種類あり、退職時の勤続年数によって利用する計算式が異なります。
 
勤続年数が20年以下の場合、「40万円×勤続年数」が控除額になります。なお、最低控除額は80万円です。対して、勤続年数が20年超である場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算します。例えば、勤続年数が30年の場合の控除額は1500万円となります。
 

退職金を正しく理解して、今後に向けて行動しよう

退職金額に関係する要素はいくつかあり、具体的な金額は人によって異なります。要素の一例としては会社規模や勤続年数、退職事由、学歴などです。もし、大卒で大企業に10年勤めていて、自己都合の退職をするのであれば、退職金額の平均は182万8000円です。
 
自分の会社の退職金制度について確認をして、退職金の使い道や今後のキャリアについて考えてみましょう。
 

出典

厚生労働省 中央労働委員会 令和5年退職金、年金及び定年制事情調査 調査の説明
厚生労働省 中央労働委員会 賃金情報等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)II. 調査結果の概要 8. モデル退職金(34~36)(256KB)
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 退職金と税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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