息子が「社会人1年目は貯金ができなかった」と言っています。20代前半の人はどのくらい貯めているのでしょうか?
配信日: 2025.05.31

では、20代前半の人たちはどのくらいの貯金をしているのでしょうか? また、社会人1年目が貯金できないのは異常なことなのでしょうか?
本記事では、社会人1年目の貯金額の統計データを紹介し、貯金できない理由を解説したうえでアドバイスをしていきます。

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目次
社会人1年目の平均貯金額は約49万円
ソニー生命保険株式会社(東京都千代田区)が毎年実施している「社会人1年目と2年目の意識調査(2025年)」(2025年2月28日~3月10日、有効回答数1000人)によると、社会人1年目の平均貯金額は52万円という結果が出ています。
これは年間を通じて貯めた金額で、月々に換算すると約4万円の貯金という計算になります。
しかし、この数値はあくまで「平均値」であり、実際には「まったく貯金ができなかった」と回答する人も16%存在します。特に就職や一人暮らしを始めたばかりの新社会人は、生活の基盤づくりにかかる初期費用が大きく、貯金に手が回らないことも珍しくありません。
20代全体では中央値9万円、貯金ゼロも4割以上
金融広報中央委員会が行っている「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」(調査時期:2023年6月23日~7月5日、調査対象:2500人)によれば、20代で単身世帯の平均金融資産額(金融資産を保有していない世帯を含む)は121万円となっていますが、これは一部の貯金額が高い層が平均を押し上げているためです。
実際の中央値は、9万円です。さらに、20代の43.9%が「金融資産を保有していない」と答えており、貯金ゼロの若者も決して珍しくありません。このことから見ても、社会人1年目に貯金ができなかったとしても、不安になるべき特別なことではないと分かります。
社会人1年目が貯金できない主な理由
社会人1年目に貯金が難しいとされる理由は、いくつかあります。まず大きいのが、社会人生活のスタートにかかる初期費用です。スーツやカバン、家電など、必要なものをそろえるだけでもかなりの出費になります。
さらに、一人暮らしを始める場合は引っ越し代や敷金・礼金、家具などの購入費も加わります。
また、初任給は一般的にあまり高くなく、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、学歴別の初任給は高卒が19万7500円、高専・短大卒が22万3900円、大卒が24万8300円です。このなかから家賃、光熱費、食費、通信費を払うと、手元に残るお金は限られてしまいます。
さらに、社会人としての人付き合いも増えるため、飲み会や職場の交際費もばかになりません。こうした生活の変化に対応しているうちに、「気がついたら貯金できなかった」というのが現実的な状況なのです。
無理なく貯金を始めるためのアドバイス
それでは、社会人1年目を経て、これから貯金を始めるにはどうすればいいのでしょうか?いくつかの実践的な方法をご紹介します。
まず、おすすめなのが「先取り貯金」です。給料が振り込まれたら、使う前に決まった額を貯金口座に移すようにすることで、確実に貯金が残せます。手元に残ったお金で生活費をやりくりするスタイルにすれば、無駄遣いも自然と減っていきます。
また、支出の見直しも効果的です。毎月の支出を家計簿やアプリで把握し、どこにお金がかかっているのかを可視化することで、節約すべきポイントが見えてきます。
特に見直したいのが、「固定費」です。例えば、スマホの料金プランや保険料、サブスクリプションサービスなど毎月自動で支払っている費用は、無意識のうちに大きな負担になっていることがあります。
さらに、収入を増やす手段として副業を検討する人も増えています。現在はクラウドワークスやスキルシェアサービスなどを通じて、自宅で副収入を得る方法も多く存在しています。
貯金ができなかったことを責めず、これからの計画を
社会人1年目で貯金ができなかったからといって、それをネガティブに捉える必要はありません。むしろ、その経験をきっかけにお金の使い方を見直すことができれば、長い目で見てプラスになります。
貯金の習慣は、すぐに身につくものではありません。息子さんが今後、少しずつでも目標を立てて貯金を始められるよう、あたたかく応援してあげてください。将来のライフイベントに備えるためにも、早い段階で「お金との付き合い方」を考えることは、とても有意義な第一歩となるでしょう。
出典
ソニー生命保険株式会社 社会人1年目と2年目の意識調査(2025年)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー