スーパーで「いつもの買い物」をしたら、予想より“1000円”ほど高くて衝撃! お米は過去5年で「ほぼ2倍」になったけど、物価はいつの間にここまで上がったの? 消費者物価指数をもとに解説
配信日: 2025.05.29

消費者物価指数(CPI)
今回参照する統計の1つ目は、総務省の「消費者物価指数(CPI)」です。消費者物価指数は、全国の世帯が購入するさまざまな商品(財やサービス)の価格変動を示すための指標です。2020年の物価を100として、現在の物価水準がどの程度かを数値で表します。
本記事では、2025年4月18日に公表された「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年度(令和6年度)平均」を見ていきます。
2020年を100とした現在の食品物価水準
2020年を100とした現在(2025年3月)の食品(統計上は「食料」)物価水準(中分類指数)は図表1のとおりです。
図表1
中分類 | 2025年3月 指数(2020年=100) |
---|---|
食料 | 124.2 |
生鮮食品(生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物) | 134.0 |
生鮮食品を除く食料 | 122.5 |
穀類 | 144.5 |
魚介類 | 131.7 |
肉類 | 119.3 |
乳卵類 | 123.3 |
野菜・海藻 | 129.4 |
果物 | 133.6 |
油脂・調味料 | 119.2 |
菓子類 | 129.1 |
調理食品 | 121.8 |
飲料 | 121.5 |
酒類 | 108.6 |
外食 | 114.9 |
総務省 2020年基準 消費者物価指数 2025年(令和7年)3月分及び全国2024年度(令和6年度)平均 より作成
外食を含む「食料」全体は2020年に比べて約24%の物価上昇、生鮮食品だけを集計すると34%の物価上昇です。品目別で見ると「穀類」の物価上昇が最も顕著であり、約45%上昇となっています。
穀類には「米類」の他に「パン」「麺類」「他の穀類(小麦粉など)」が含まれます。「米類」単独としては別の表(財・サービス分類指数)に記載されているので、図表2として引用します。
図表2
財・サービス分類 | 2025年3月 指数(2020年=100) |
---|---|
米類 | 195.3 |
総務省 2020年基準 消費者物価指数 2025年(令和7年)3月分及び全国2024年度(令和6年度)平均 より作成
「米類」の物価上昇率は2020年比で約95%とのことですので、4~5年でほぼ2倍に値上がりしています。最近の肌感覚とおおむね一致しているのではないでしょうか。
全国のスーパーにおける米(コメ)の販売価格
農産物としての米(コメ)は、農林水産省の所管です。統計の2つ目として、農林水産省が公表している米の「スーパーでの販売数量・価格の推移」を見ていきます。
これによると、米の平均店頭価格(5キログラム)は2025年4月7~13日の週で4217円となっています。対前年同期では額が2139円の上昇、率は103.0%の上昇と、やはりほぼ2倍となっています。
米の価格は、総務省の消費者物価指数では「4~5年前のほぼ2倍」、農林水産省のまとめでは「1年前(対前年同期)のほぼ2倍」であることから、米の値上がりはこの1年で急速に進んだことが分かります。
まとめ
「食料」全体では4~5年前に比べて約24%の物価上昇となっていること、米の価格はこの1年でほぼ2倍になったことなどが分かりました。
物価の上昇は、企業収益の向上や、賃金の上昇(賃上げ)、雇用の安定などにつながる良い面があるものの、急激な物価上昇、特に主食となる食品や、電気・ガス・水道料金などの値上げは、多くの家計にダメージをもたらします。
消費者、生活者としては節約志向の工夫などでしのぐしかないところですが、今後の動向によっては、夏の参議院選挙の大きな争点になるかもしれません。
出典
総務省 2020年基準 消費者物価指数 2025年(令和7年)3月分及び全国2024年度(令和6年度)平均
農林水産省 米の需給状況の現状について スーパーでの販売数量・価格の推移
執筆者:福嶋淳裕
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)