いろいろなモノが値上がりしているので、「トランプ関税」の影響をあまり理解できていません。一般的な家計にどんな影響があるの?
配信日: 2025.05.29

今回は、トランプ関税による一般家計への影響についてみていきましょう。

CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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「トランプ関税」って何?
「トランプ関税」とは何かを確認しましょう。
アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏の政権下で導入された、外国製品に対する追加関税政策のことです。特に中国や欧州連合(EU)など、貿易摩擦が顕著にみられる地域に対して、自国産業を保護するために高い関税がかけられました。
私たちの家計にどんな影響がおよぶの?
これが私たちの生活にどう影響するかというと、主に輸入品が上昇することがあげられるでしょう。関税がかかると、その分だけ企業の仕入れコストが増加します。そしてそのコストは、最終的に私たち消費者に「値上げ」という形で転嫁されることが多いのです。
例えば、以下のような商品に影響が出ると考えるとイメージがつきやすいでしょう。家電製品やスマートフォンの製品価格が上がる可能性があります。AppleのiPhoneを例にあげてみましょう。
iPhoneは主に中国で組み立てて全世界に出荷されるので、アメリカで販売されるiPhoneについては、関税が25%かかります。日本で販売する分には、日本の関税が適用されますから、関税はかかりません。
iPhoneの場合、Appleとしてはアメリカ市場でかかった関税分によるコスト増をすべてAppleが負担するのではなく、販売価格を上げることでその負担を消費者に転嫁するのが一般的です。
iPhoneに限らず、家電製品や衣類・靴、日用品や家具など、何らかの形で中国を経由して出荷されるケースが多いです。したがって、私たち日常生活で使用するモノについて幅広く価上昇することが予想されます。
また、メーカー側としては関税回避のためにサプライチェーンを中国以外に移す場合があり、その過程でもコストアップが予想されます。
安価なスマホは、コストを抑えるために部品や組み立てを中国で行うことが多く、関税の影響を強く受けることになります。そうなれば、格安スマホの価格も上昇する、あるいは、「型落ちモデル」でも値下がりしにくくなるということが考えられます。
広い分野で物価の上昇が続くと、多少賃金が上昇しても、家計の実質的な負担が増加し、節約志向を強めなければならなくなります。
どのくらい家計が圧迫されるのでしょうか?
どのくらい影響を受けるのかは、それぞれの家庭の家族構成や消費スタイルによって、どのようなモノを多く購入するのかが決まっていないので一概にはいえません。
しかし、先に述べた幅広い日常生活品で影響を受けることが必至となることは間違いありません。
家計運営で、具体的に立てられる対策はある?
では、何か対策できることはあるでしょうか。
ありきたりですが、買い替えを検討するときには、価格比較を慎重にする、また冷蔵庫やエアコンなど耐久財については、長期保証をつける、衣類についてはセール期間など情報収集につとめ、まとめ買いも検討する、電子機器については新モデルよりも中古品などについても仕様を確認したうえで選択肢に加えるなどの防衛策が考えられます。
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者