「ネット銀行」「ネット証券」に1000万円ずつ預けています。仮に「破綻」した場合、両方とも保護されますか?
配信日: 2025.05.29

ネット銀行やネット証券の利用者が増えるなかで、こうした不安を抱える方もいるでしょう。特に、銀行と証券会社のそれぞれに1000万円を預けている場合は、「本当に全部戻ってくるのか?」と心配になるのも無理はありません。
本記事ではネット銀行や証券会社が破綻した場合、どのような仕組みで資産が守られるのかについて解説します。

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目次
ネット銀行の預金は「預金保険制度」で1000万円まで守られる
日本では、銀行が万が一破綻しても、預金者の資産を守る「預金保険制度」が整備されています。これは預金保険機構という公的な機関が運営しており、銀行や信用金庫などが破綻したときに、一定の預金を補償する仕組みです。
この制度では、「元本1000万円まで」と「その利息」が一つの金融機関ごとに保護されます。つまり、仮にネット銀行が破綻しても、その銀行に預けた預金のうち、元本1000万円と利息までは全額が戻ってくる仕組みです。
例えば、あるネット銀行に1000万円を預けていた場合、その金額は預金保険の対象となり、破綻してもきちんと保護されます。ただし、外貨預金や仕組み預金のように、一部の預金商品は預金保険の対象外なので注意が必要です。
また、同じ銀行に複数の口座を持っていても、保護の上限は合算して1000万円です。別の銀行に預けている場合は、それぞれ別に1000万円とその利息まで保護されます。
ネット証券の資産は「分別管理」と「投資者保護基金」で守られる
証券会社では銀行と違い預金ではなく、有価証券(株式や投資信託など)や預かり金(現金)を預けています。証券会社が破綻した場合でも、顧客資産は「分別管理」という制度で保護されています。
分別管理とは、証券会社が自社の資産と顧客の資産を明確に分けて保管する仕組みのことです。これにより、証券会社の経営が破綻しても、顧客の株式や現金は別のものとして返還されます。
さらに、「投資者保護基金」という制度もあります。これは、万が一証券会社が分別管理を怠っていたなどの理由で、顧客資産が返還されない場合に備える制度で、1人あたり1000万円を上限として補償されます。
例えば、あるネット証券に1000万円を預けていた場合、原則としてその資産は分別管理で守られています。それでも万一問題が発生しても、最終的には投資者保護基金により一定額までは補償されるため安心できます。
なお、投資者保護基金による補償は、証券会社の分別管理不備などで資産が返還されない場合に限られます。株価や投資信託の価格下落など、市場変動による損失は補償の対象外です。
両方とも1000万円ずつ預けていても、保護は別々に適用される
ここで気になるのは、「ネット銀行に1000万円、ネット証券に1000万円預けていた場合、両方とも保護されるのか?」という点です。
この場合は、両方とも保護されます。
理由は、預金保険制度と投資者保護制度はまったく別の仕組みだからです。銀行に預けた1000万円は預金保険制度で、証券会社に預けた1000万円は分別管理+投資者保護基金で、それぞれ個別に保護されます。そのため、仮に同時にネット銀行とネット証券が破綻するような極端なケースが起こっても、原則として合計2000万円が保護対象になるのです。
ただし、どちらも制度上の「上限」があります。万一、銀行に1500万円、証券会社に2000万円を預けていた場合は、それぞれ1000万円までが保護対象で、それ以上の部分は戻ってこない可能性があります。この場合は、資産を1000万円単位で分散して預けるなどの工夫が重要です。
保護の仕組みを理解して、安心して資産を管理しよう
ネット銀行とネット証券に1000万円ずつ預けていた場合、どちらも原則として全額が保護される仕組みが整っています。銀行預金は「預金保険制度」、証券資産は「分別管理」と「日本投資者保護基金」で守られています。
ただし、それぞれに上限や対象商品に制限があります。外貨預金や仕組み商品は対象外となることもあるため、預け先の商品内容には十分に注意しましょう。
また、万一に備えて、資産を複数の金融機関に分けて預ける、定期的に口座残高や商品内容をチェックするといったことも大切です。制度を正しく理解し、リスクを把握しながら資産運用・資産管理を行うことで、将来の不安を減らすことができるでしょう。
出典
金融庁 預金保険制度
日本証券業協会 証券会社等の分別管理について
日本投資者保護基金 投資者保護基金制度とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー