ご飯は朝まとめて炊いて「10時間くらい保温」しています。冷凍して「再加熱」するのと比べて電気代は節約になっていますよね?
配信日: 2025.05.28

実際のところ、どちらの方法が電気代の節約につながるのでしょうか。今回は、炊飯器でご飯を10時間保温した場合と、冷凍・冷蔵保存して電子レンジで再加熱した場合、それぞれの電気代を比較し、どちらが節約になるのかを検証します。

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目次
10時間保温の電気代は意外と高い
経済産業省 資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2024年版」によると、一般的な炊飯器で白米を1回炊飯するのに必要な電力量は約158Whです。さらに、そのまま10時間保温すると、保温だけで165Whもの電力を消費します。
つまり「炊飯+10時間保温」では、合計323Whとなります。電気料金単価は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が目安としている「31円/kWh」で換算すると、1回あたりの電気代は次のようになります。
323Wh ÷ 1,000 × 31円 =約 10円
この状態を毎日繰り返した場合、年間では約3650円の電気代がかかる計算です。
保温せず電子レンジで再加熱する場合
一方で、炊飯後は冷蔵または冷凍保存し、食べる前に電子レンジで温め直す方法もあります。前述の資料によると、電子レンジで1回温めるために必要な電力量は約35Whとされています。
この場合、「炊飯158Wh+再加熱35Wh=合計193Wh」となり、保温するよりも130Wh少なくなります。
これを同様に電気代で計算すると、
193Wh ÷ 1,000 × 31円 =約 6円
年間では約2190円となり、10時間保温を続ける場合と比べて、約1460円の節約が期待できます。
ただし、電子レンジでの再加熱は家族の人数分行う場合が多くなります。例えば4人分を1回ずつ温め直すと、1回あたりの再加熱消費電力量は約35Wh×4=140Whとなり、炊飯と合わせると298Whです。電気代にすると約9.2円となり、10時間保温(約10円)との差はほとんどなくなります。
4時間以内の保温なら、再加熱よりお得?
このように、電子レンジでの再加熱は人数分行うと電気代が増える可能性がありますが、逆に保温時間を短く抑えれば、コスト面で大きな差はなくなります。
資料によれば、保温を4時間に抑えた場合の消費電力量は66Whとなり、炊飯との合計は224Whです。
224Wh ÷ 1,000 × 31円 =約7円
この場合、電子レンジで温め直すよりわずかに電気代がかかりますが、1円程度の差に収まります。つまり、4時間以内であれば保温しても大きなロスにはならないでしょう。
電気代だけでなく、味や衛生面にも注意
保温による電気代は意外とかかりますが、味の面でも注意が必要です。長時間保温するとご飯が乾燥したり、黄ばんで風味が落ちたりすることがあります。また、夏場は衛生面でも気をつけたいところです。
一方、冷蔵・冷凍保存したご飯を電子レンジで温める場合は、炊きたてに近い味を再現できる場合もあります。特にラップや専用容器で密閉した状態で保存・加熱すれば、ふっくらと仕上がるでしょう。
節電には「冷蔵保存+電子レンジ再加熱」が有利
「まとめ炊きして10時間保温」は便利な反面、電気代がかさむ傾向があります。電気代を抑えたい場合は、保温時間を4時間以内にするか、冷蔵保存して食べる直前に電子レンジで温めるスタイルが効果的です。
また、最新の省エネ炊飯器を選ぶことで、炊飯時の消費電力そのものを抑えることもできます。「早炊き機能」などを上手に活用するのも、日常的な節約につながるでしょう。
出典
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問 Q&A
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ2024年版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー