育休から復帰後、月収が「25万→15万円」にダウン! 年金保険料の支払いがキツイけど、手続きで“保険料だけ”安くできるって本当ですか?「将来の年金額」を減らさないための方法とは
配信日: 2025.05.26

しかし、適切な手続きをすることで、保険料の負担を軽減しつつ、将来の年金額を減らさないことが可能です。どのようにすれば負担を軽減できるのか見ていきましょう。

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復職後に年金保険料の負担を減らすにはどうすれば良い?
通常、年金保険料の見直しは年1回と決まっていますが、給料が大幅に変わった際には、定期的なタイミングを待たずとも、「随時改定」によって年金保険料が見直される場合があります。
「随時改定」にはいくつかの要件がありますが、出産・育児による復職の場合は、随時改定よりも緩和された条件を満たせば、所定の手続きによって保険料の見直しができます。
具体的には、次の3つの条件を満たし、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、年金保険料を育休後の給与の水準に改定することが可能です。
●3歳未満の子どもを養育している
●育児休業前の標準報酬月額と改定後の額に1等級以上の差がある
●育休明けに勤務した3ヶ月間で給与計算の基礎日数が17日以上ある月が少なくても1ヶ月ある
具体的に年金保険料はどれくらい変わる?
会社員で「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すれば、どれくらい年金保険料は変わるのでしょうか?
例えば、育児休業前の給与が月額25万円の場合、年金保険料は月額で2万3790円です。復職後に給与が月額15万円になった場合でも、なんの手続きもしなければ、次の年金保険料が見直されるタイミングまでは月額2万3790円を支払わなければなりません。
一方、復職後に給与が月額15万円になり、「育児休業等終了時報酬月額変更届」の手続きをすれば、年金保険料は月額1万3725円です。つまり、この手続きをすることで月額約1万円年金保険料が安くなります。
「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」で将来の年金額を維持する
「育児休業等終了時報酬月額変更届」の提出によって保険料の負担を軽減できるのは魅力的ですが、「保険料が安くなると、将来の年金額も減ってしまうのでは?」と心配になる人もいるでしょう。
そこで活用できるのが、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」です。この制度を利用すると、子どもが3歳になるまでの間、年金の計算上は出産前の給与(標準報酬月額)を維持したまま記録されるため、将来の年金額が減る心配がありません。
つまり、この制度を利用することで、本記事の事例でいうと、復職後に給与が月額25万円から15万円に減り、手続きによって15万円分の年金保険料を支払っている期間についても、25万円分の年金保険料を支払っているものとして将来の年金額が計算されます。
まとめ
出産・育児後に職場復帰すると、給与が減少したにもかかわらず、厚生年金保険料が復職前と変わらないことで、負担を重く感じることがあります。
しかし、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すれば、復職後の給与に応じた保険料に見直すことができ、毎月の負担を減らせます。また、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用すれば、将来の年金額を減らさずに済むため、安心して子育てと仕事の両立が可能です。
これらの制度を適切に活用し、無理のない範囲で家計と老後の備えを両立させましょう。
出典
日本年金機構 随時改定(月額変更届)
日本年金機構 育児休業等終了時報酬月額変更届の提出
日本年金機構 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー