夫の職場は「育休」を推進していますが、育休中の給与は3割減ってしまいます。生活が苦しくならない対策はありますか?
配信日: 2025.05.24

今回は、男性の育児休業制度とその支援策について解説します。

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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男性の育児休業制度
男性が育児のために利用できる休業制度は、「育児休業」「産後パパ育休(出生時育児休業)」「パパ・ママ育休プラス」があります(※2)。
1. 育児休業
「育児休業」は、1歳未満の子ども1人につき原則2回まで取得することが可能で、保育所に入所できないなどの事情があれば、最長で2歳になるまで延長することができます。
2. 産後パパ育休
令和4年10月からは、「産後パパ育休」が施行されています。この制度によって、子どもの出生時から8週間以内であれば、育児休業とは別に最長に4週間まで休業することができるようになりました。
3. パパ・ママ育休プラス
両親がともに育児休業を取得する場合、育児休業の期間を子どもが1歳から1歳2ヶ月になるまでに延長することができる「パパ・ママ育休プラス」制度を利用できます。
育児休業を支援する制度
今までは育児休業などに伴い雇用保険から、出生時育児休業給付金と育児休業給付金が支給されていました。さらに令和7年4月からは、出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金が加わりました。
1. 出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金
「産後パパ育休」を取得した一定の要件を満たす被保険者に支払われた賃金の額が、休業前の賃金(休業開始時賃金日額×休業期間の日数)の80%未満となった場合に、出生時育児休業給付金が支払われます。
加えて、令和7年4月からは「出生後休業支援給付金」が支給されるようになり、休業前の賃金の80%を確保できるようになりました(※3)。
図表1
なお、休業期間の日数の上限は28日、休業開始時賃金日額の上限は1万5690円(令和7年7月31日までの額)となります。
2. 育児休業給付金・出生後休業支援給付金
「育児休業」を取得した一定の要件を満たす被保険者に支払われた賃金の額が、休業前の賃金(休業開始時賃金日額×休業期間の日数)の80%未満となった場合に、育児休業給付金が支払われます。加えて令和7年4月からは「出生後休業支援給付金」が支給されるようになり、休業前の賃金の80%を確保できるようになりました(※3)。
図表2
図表2の(30%)・(50%)は、育児休業開始から181日以降の数値になります。
なお、出生後休業支援給付金に係る休業期間の日数の上限は28日、休業開始時賃金日額の上限は1万5690円(令和7年7月31日までの額)となります。
育児休業支援制度と給付金のイメージ
共働き夫婦がパパ・ママ・育休制度を利用した場合、給付される支給額のイメージは図表3のようになります。
図表3
まとめ
夫は、育児のために「産後パパ育休」や「育児休業」を利用して休業することができました。この際に給料が支払われないか下がった場合、出生時育児休業給付金や育児休業給付金が給付され、休業開始前に受け取っていた賃金の67%が保証されるようになっていました。
加えて令和7年4月からは、28日を上限に出生後休業支援給付金13%が上乗せされるようになったため、休業開始前に受け取っていた賃金の80%が保証されるようになりました。
出典
(※1)厚生労働省 「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」(速報値)
(※2)厚生労働省 育児休業制度特設サイト
(※3)厚生労働省 育児休業等給付の内容と支給申請手続
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士