新しい職場は「交通費が満額出ない」と聞いてびっくり!「通勤手当」はいくらくらいが一般的なのでしょうか?
配信日: 2025.05.20

そこで、本記事では「通勤手当」の相場や、そもそも企業が「通勤手当」を支給する法的義務があるのかどうか、詳しく解説します。

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「通勤手当」などの平均支給額は「月額1万1700円」
「通勤手当」とは、従業員の通勤にかかる費用を企業が負担するために支給する手当を指します。目的は、通勤における従業員の経済的負担を軽減することです。
法律では通勤手当の支給は義務づけられておらず、各企業の裁量で支給の有無が決められています。
では、相場はどれくらいの金額なのでしょうか。
厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」によると、通勤手当などの労働者1人平均支給額は「月額1万1700円」であることが報告されています。企業の規模などによって数千円の差はありますが、おおむね1万円前後を支給している企業が多いことが分かります。
マイカー通勤の場合の「通勤手当」はどうなる?
では、従業員がマイカーで通勤している場合はどうでしょうか。
従業員が車で通勤している場合の通勤手当は、1リットルあたりのガソリン代単価と燃費、自宅から職場までの距離を基に算出するのが一般的だそうです。計算式は、「通勤にかかる往復距離×出勤日数×1リットルあたりのガソリン代単価÷燃費」になります。
あるいは、通勤距離に応じた月々の支給額をあらかじめ決めている企業もあるようです。
国税庁によれば、マイカーや自転車などを使用して通勤している人の非課税となる1ヶ月あたりの限度額は、片道の通勤距離に応じて決められており、この非課税限度額を通勤手当の支給上限額としているケースもあるようです。
距離に応じた非課税限度額は表1のとおりです。
表1
片道の通勤距離 | 1ヶ月あたりの非課税限度額 |
---|---|
2キロメートル未満 | (全額課税) |
2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4200円 |
10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7100円 |
15キロメートル以上25キロメートル未満 | 1万2900円 |
25キロメートル以上35キロメートル未満 | 1万8700円 |
35キロメートル以上45キロメートル未満 | 2万4400円 |
45キロメートル以上55キロメートル未満 | 2万8000円 |
55キロメートル以上 | 3万1600円 |
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」を基に筆者作成
「通勤手当」の支給額は会社が自由に決定できる
先述したとおり、会社に「通勤手当」を支払う法的な義務はありません。とはいえ、厚生労働省「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」によると、「通勤手当など」を支給する企業は全体の92.3%に及んでいます。9割以上の企業が従業員に対して「通勤手当など」を支給していることが分かります。
しかし、「通勤手当」の支給額は会社が自由に決定できるため、必要な金額が支給されるかどうか、よく確認してから転職などを検討することも大切です。
まとめ
「通勤手当」に法的な支払い義務はないものの、おおむね1万円前後を支給している会社が多いようです。「通勤手当」の支給額は会社が自由に決定できるため、場合によっては必要な金額が満額支給されないケースもあるでしょう。
「通勤手当」が満額支給されない場合はなるべく職場の近くに引っ越しを検討するなど、企業と従業員の双方が納得のいく形で歩み寄るのがベターといえるかもしれません。
出典
厚生労働省 令和2年就労条件総合調査の概況 2 賃金制度 (3)諸手当 第18表 諸手当の種類別支給企業割合(令和元年11月分)(13ページ)、第19表 諸手当の種類別支給された労働者1人平均支給額(令和元年11月分)(14ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー