50代で貯金が「200万円」しかなく焦っています。定年までにあといくら貯めれば「老後貧乏」にならずにすみますか?
配信日: 2025.05.16

そこで今回は、50代の平均貯蓄額を確認するとともに、あとどれくらいお金を貯めれば安心して老後を過ごせるのかを解説します。

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50代の平均貯蓄額
金融広報中央委員会の令和5年「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50代2人以上世帯の平均金融資産保有額は1147万円でした。また、全体の中央値は300万円です。
一方、単身世帯の平均値は1391万円、中央値は80万円で、2人以上世帯と比べると中央値の金額は少なくなります。
50代で200万円の貯金は、単身世帯においてはより実態に近いと考えられる中央値を大きく上回りますが、2人以上世帯では300万円の中央値を下回る結果です。
さらに調査結果を詳しくみていくと、2人以上世帯の金融資産の保有目的で最も多かったのは老後資金(60.7%)で、2位は病気や災害への備え(40.2%)、3位が子どもの教育資金(17.3%)です。
単身世帯においても、1位が老後資金(54.6%)、2位が病気や災害への備え(38.5%)は同様ですが、3位はとくに目的はないが金融資産を保有していると安心(20.8%)という結果でした。
いずれの場合も、50代においては半数以上の人が老後資金のために貯蓄していることが分かります。
定年後に必要な資金の目安
総務省の「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯におけるひと月の家計収支と不足金額は表1の通りです。
表1
65歳以上夫婦のみの無職世帯 | 65歳以上の単身無職世帯 | |
---|---|---|
平均支出額 (消費支出+非消費支出) |
28万2497円 | 15万7673円 |
実収入 (社会保障給付を含む) |
24万4580円 | 12万6905円 |
不足金額 | 3万7917円 | 3万768円 |
出典:総務省「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
仮に65歳から95歳まで生活する場合、夫婦2人では約1365万120円、単身では約1107万6480円不足する計算です。ただし、これはあくまで平均的な金額です。老後に趣味を楽しみたい方や、病気やけがによる入院、介護などでまとまったお金が必要になる場合を考慮すると多めに用意しておいた方がいいでしょう。
平均不足分にプラスして500万円程度の余裕を持たせるとすると、夫婦2人世帯では1900万程度、単身世帯では1600万円程度の備えが必要です。貯金200万円を考慮すると、夫婦2人世帯ではあと1700万円程度、単身世帯ではあと1400万円程度の資金が必要になるでしょう。
老後資金の余裕がない場合の対処法
50代は、子どもの教育費や親の介護など、何かと出費がかさむことも考えられます。老後資金の不足が予想される場合には、次のようなポイントを意識してみるといいでしょう。
●毎月の収支を見直す
●定年後も働く
収入と支出の現状を把握することは大切です。特に、毎月必ず必要な家賃や住宅ローン・水道光熱費・通信費などの固定費の見直しは効果的です。電気料金の見直しや格安スマホへの乗り換えをすると年間でまとまった金額を節約できることがあります。
また、定年後も再雇用や再就職などで収入源を確保しておくことも大切です。仕事に出ることでメリハリのある健康的な生活を送れるというメリットもあります。
定年までに約1400万円~1700万円程度必要
50代で貯金が200万円の場合は、定年までに老後資金として1400万円~1700万円程度の資金が必要になることが分かりました。ただしこの金額は、平均支出と収入を基に算出しているため、実際には病気やけがによる入院や介護などの費用を考慮すると、さらに多くの備えが必要になるでしょう。
老後資金の余裕がない場合は、今回ご紹介した方法を参考に、定年に向けて少しずつでもいいので貯蓄を増やしていきましょう。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)表番号4、19
二人以上世帯調査
単身世帯調査
総務省 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー