2025年4月から改正された「育児・介護休業法」って何? 具体的にどう変わるの?

配信日: 2025.05.13

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2025年4月から改正された「育児・介護休業法」って何? 具体的にどう変わるの?
「育児・介護休業法」は、育児や介護をする人がより働きやすくなるよう、2025年4月より改定されました。
 
そこで本記事では、2025年4月から改正された「育児・介護休業法」について分かりやすく解説します。従業員と企業、それぞれが気を付ける点もご紹介しますので、対象となる方は参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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「育児・介護休業法」の改正で何がどう変わるのか

働く親が子育てや親の介護と仕事を無理なく両立できるよう、国はさまざまな制度を見直しました。例えば、子どもの年齢に応じて柔軟な働き方を可能にする仕組みの整備や、企業に育児休業の取得状況の公表を義務付けるなどの変更が行われています。
 
この改正の背景には、「育児や介護をしながらでも安心して働き続けられる社会の実現」という目標があります。
 

子育て中の柔軟な働き方が拡充

働き方に対する柔軟な対応が拡充され、以下のように変更されました。
 

・時短勤務やテレワークなどを希望できる対象年齢が「3歳まで」から「小学校入学前まで」に上がった
・残業なしを希望できる子どもの年齢が「3歳未満」から「小学校入学前」に上がった
・看護休暇を利用できる子どもの年齢が「就学前」から「小学校3年生まで」に上がった
・テレワークが正式な支援に加わった

 
企業には、働く親のニーズに応じて、以下のような制度から2つ以上を整備する義務が課せられています。
 

・出退勤時間の調整
・在宅勤務(テレワーク)
・時短勤務
・子育てのための特別休暇

 
例えば保育園のお迎えに合わせた早めの退勤や在宅勤務など、個人の状況に合った働き方を選択できるようになります。
 
「看護休暇」は、子どもの病気だけでなく、学校行事などのために取得できる休暇です。対象年齢が拡大されただけでなく、入社直後でも取得可能な制度に変更されました。
 
さらに、3歳までの子どもを育てる人への支援内容に「テレワーク」が追加されています。
 
この改正は、子どもの成長段階に応じた働き方の選択肢を広げるものです。支援内容が具体的に明記されたことで、今後の普及が期待されます。
 
なお、個別のニーズに対応するため、子どもが3歳になるまでの適切な時期に面談が実施される予定です。育児と仕事のバランスや、将来のキャリアプランについて考えておくといいでしょう。
 

育児への企業の取り組みが「見える化」される

育児への企業の取り組みについて「見える化」されるポイントには以下があります。
 

・「育休の取得状況」を公表する会社が増える
・企業は「数値目標」を立てなければならない
・子育てを支える法律が10年延長した

 
これまでは、従業員が1000人を超える企業だけに取得状況公表の義務がありましたが、今後は300人を超える企業も対象になります。男性も含めて、実際に育休をとっている人が数字で見えるため、父親の育休取得の増加にもつながるでしょう。
 
また、企業は「育休取得率」などの数値目標を設定し、それに基づく行動計画の策定が義務付けられます。目標の達成と一定基準を満たした企業は、厚生労働大臣による認定を受けることができます。
  
さらに、企業の育児支援を推進する「次世代育成支援対策促進法」が約10年延長され、令和17年(2035年)3月31日まで有効となりました。企業の子育て支援の責任を重視する国の方針が、今後も継続されると考えられるでしょう。
 

介護と仕事の両立をサポート

介護と仕事の両立をサポートするための改定ポイントは、以下の通りです。
 

・介護に直面したときの「企業からの声がけ」が義務になる
・介護制度を早めに案内、研修する
・介護休暇は入社直後から取得可能になる
・介護中の社員へのテレワーク導入が企業の努力義務になる

 
社員が親などの介護が必要になったと申し出た場合、企業は以下の対応が義務付けられました。
 

・利用できる支援制度を個別にしっかり伝える
・本人の希望(仕事を続けたい、一時的に休みたいなど)を確認する

 
また、介護が発生する前の段階から、制度に関する情報提供や社員研修の実施が企業の義務となります。実際に介護が必要になった際に、スムーズに対応できる体制が整うでしょう。
 
介護休暇については、入社直後であっても平等に取得できるよう改善されました。さらに、介護中の社員に対してテレワーク環境を整備することが企業の努力義務として明記され、仕事と介護の両立支援が強化されています。
 

2025年4月から始まった「出生後休業支援給付金」とは?

2025年4月から始まった「出生後休業支援給付金」は、出生直後の一定期間に両親それぞれが14日以上の育児休業を取得した場合に、給付金が支給される制度です。なお、配偶者が働いていないなどの場合には、本人が育児休業を取得していれば対象となります。
 
出生時育児休業給付金または育児休業給付金とあわせて、最大28日間支給されます。なお、支給額は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%」で計算されます。
 
支給要件がこまかく定められていますので、出生時育児休業給付金もしくは育児休業給付金を申請する際に確認してみましょう。
 

2025年4月からの改正で、育児や介護をする人が働きやすくなるようになる。改正内容を理解してぜひ利用しよう

2025年4月から(一部を除く)の「育児・介護休業法」では、育児における時短勤務やテレワーク、残業制限を希望できる年齢が「小学校に入る前まで」に引き上げられたり、企業に対して育児への取り組みの見える化を図ったりと、さまざまな内容が改正されています。
 
介護での離職を避けるために、介護休暇を取得できる要件の緩和なども改正内容の一つです。
 
2025年4月から「出生後休業支援給付金」も開始していますので、対象となる人は各制度の要件を確認し、状況に合わせて利用しましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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