私は年収700万円で妻は扶養内で働いています。「子育ても落ち着いたからフルタイムで働きたい」と言われたのですが、私の手取りはいくらくらい変わりますか?

配信日: 2025.05.13

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子育てが一段落したことを機に、老後の資金作りや趣味のためのお金を得るために「フルタイムで働きたい」と考える人もいるでしょう。しかしそれまで専業主婦(夫)で、あるいは扶養内で働いていて配偶者控除を受けていた場合、配偶者がフルタイムで働くことで控除を受けられなくなる可能性があります。
 
妻が働くことで手取りがどう変わるのか、家計に影響がないのかを確認することが大切です。今回は、配偶者控除の有無で手取りがどう変わるのかについて紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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配偶者が働くと配偶者控除はどうなる?

本人の所得が1000万円以下かつ配偶者の収入も条件に合致していれば、以下の控除額で配偶者控除が適用されます。
 

・900万円以下:38万円
・900万超~950万円以下:26万円
・950万円超~1000万円以下:13万円

 
なお、以上は配偶者が70歳未満のときです。70歳以上になると控除額が変わるため、計算時には注意しましょう。
 
配偶者控除の対象となる配偶者の条件は以下の通りです。
 

・民法規定の配偶者(内縁関係は適用外)
・納税者本人と同一生計
・1年間の所得が合計48万円以下(給与収入のみなら年収103万円以下)
・青色申告の専従事業者としてその年を通じて一度も給料を受け取っていない
・白色申告の専従事業者ではない

 
つまり妻が月収換算で約8万5833円以上稼いでいると、年収103万円を超えるため配偶者控除の適用対象外です。ただし妻が収入を多く得ていても、一定金額までなら「配偶者特別控除」を受けられる可能性があります。
 

配偶者特別控除の適用条件

年間合計所得が48万円超133万円以下であれば配偶者特別控除の適用対象です。ただし、配偶者控除の条件に加え、以下の条件などにも該当している必要があります。
 

・青色申告の専従事業者として給料を受け取っていない
・白色申告の専従事業者ではない
・配偶者が配偶者特別控除を適用していない

 
適用される控除額は、本人と配偶者の所得に応じて細かく設定されています。国税庁のホームページでも確認できるので、チェックしておきましょう。
 

妻がフルタイムで働くことで夫の手取りはどれくらい変わる?

手取り額の比較にあたって、条件は以下の通りとします。
 

・本人の年収が700万円
・東京都在住40代
・全国健康保険協会に加入
・年収を12ヶ月で割った金額が報酬月額とする
・ボーナスは考慮しない
・控除は配偶者控除、社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除のみ
・各控除は令和6年度時点の金額を使用
・住民税の所得割は10%、均等割は5000円
・妻が扶養内、フルタイムで働いた場合で比較
・フルタイムのときは所得が133万円を超えているものとする

 
まず、年収700万円のときの報酬月額は約58万3333円なので、社会保険料は以下の通りです。
 

・健康保険料と介護保険料(年額):40万9932円
・厚生年金保険料(年額):64万7820円
・雇用保険料(年額):4万2000円
・社会保険料(年額):109万9752円

 
また、給与所得控除は180万円、基礎控除は48万円になります。条件を基にすると、妻の所得別のおおよその手取り額は表1の通りです。
 
表1

妻の働き方 扶養内 フルタイム
配偶者控除 38万円
所得税の課税所得 324万円 362万円
所得税率、控除額 10%、9万7500円 20%、42万7500円
所得税額 22万6500円 29万6500円
住民税の課税所得 329万円 367万円
住民税額 33万4000円 37万2000円

※筆者作成
 
表1を基にすると、妻が扶養内のときは手取りが533万9748円、フルタイムだと手取りが523万1748円です。手取りに約10万円の差があります。
 
手取り額が変わるので、妻の収入を考慮しても家計に問題がないのかなどはよく確認しておきましょう。なお、今回の計算結果は試算なので、ほかにも控除がある場合は金額が変わる可能性があります。
 

妻の収入によっては手取りが減る可能性がある

配偶者控除は、配偶者の所得が48万円以下で本人の所得も1000万円以下なら適用される控除です。もし、妻がしっかり働きたい場合、収入額によっては受けられなくなるでしょう。ただし、妻の収入によっては配偶者特別控除の対象になります。
 
妻がフルタイムで働くことを検討している際は、配偶者特別控除の適用外なのかどうかを確認しておきましょう。収入によっては、手取り額が10万円程度変わる可能性があります。制度を知っておくことで、家計に合った働き方を見つけやすくなるでしょう。
 

出典

全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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