通勤帰りに子どものお迎えのため「定期券内」で途中下車しています。同僚に「不正利用にならない?」と聞かれたのですが、問題なのでしょうか?
配信日: 2025.05.13

「不正利用になるのではないか?」という指摘を受ける可能性もあるかもしれません。
本記事では、通勤手当で購入した定期券をプライベートで利用することの問題点や、通勤手当の不正受給になるケースについてご紹介します。

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目次
通勤用の定期券をプライベートで利用するのは違法?
労働基準法に通勤手当に関する記載はありません。通勤のための交通費は会社が従業員に支給しなければならないという法的な決まりはなく、支給するかどうかは会社の判断で決められるものであると考えられます。通勤手当を支給している会社の中には、給与として支払ったり、定期券として現物支給したりしているようです。
いずれにしても給与という取り扱いになるため、本記事の事例のように「会社帰りに定期券内で途中下車している」ということがあっても、その使い方について会社が規制できないと考えられます。
また、定期券内で乗り降りする分には追加料金が発生しないため、会社に不利益や損害を与えるものではないと判断できる可能性があります。そのため、通勤途中にプライベートな理由で乗り降りしたとしても、定期券内であれば違法にはならないと考えていいでしょう。
通勤手当の不正受給になるケースは?
通勤手当の不正受給になる可能性があるのは、実際に必要な交通費よりも多い金額を受給したときです。
例えば、引っ越しをして通勤経路が変わった場合です。今までより交通費が安くなったにもかかわらず、変更の届け出をせずに今までと同じ金額の交通費を受け取っていた場合は、不正受給になるでしょう。
また、通勤手当を受け取っておきながら、自転車や徒歩で通勤して交通費を浮かせる行為も不正受給になると考えられます。定期券を購入した際の領収書を会社に提出した後で定期券を解約して払戻金を自分のものにし、自転車や徒歩で通勤するようなケースは、特に悪質性が高いでしょう。
不正受給と判断された場合はどうなる?
民法第七百三条に「不当利得の返還義務」について定められているように、通勤手当の不正受給が発覚した場合、不正に受給した通勤手当を従業員に返還させるよう処分を下した企業もあるようです。
例えば豊島区では、令和5年9月から10月にかけて実施した通勤手当認定経路調査で通勤手当を不正受給していた豊島区の職員が80名程度いることが発覚し、その全額を返還させる処分をおこなっています。このときの不正受給額の総額は約1000万円でした。
積極的に虚偽の申告をおこなって通勤手当を不正受給していた場合は詐欺罪が成立する可能性もあるため、気をつけなければなりません。
定期券内での乗り降りは会社に不利益や損害を与えないなどの理由で問題ないと考えられる
会社から支給された通勤手当で購入した定期券を使って通勤している場合、定期券内であれば途中で乗り降りしても会社に不利益や損害を与えることはないため、不正利用にはならないと考えられます。
ただし、引っ越して必要な交通費が今までより安くなったにもかかわらず届け出をせず受給し続けたり、通勤手当をもらっているにもかかわらず徒歩や自転車を使って交通費を節約したりする行為は、不正受給になる可能性があります。
不正受給が発覚した場合は会社から返還を求められたり、場合によっては詐欺罪で訴えられたりする可能性もあるでしょう。そのため、実際に必要な交通費を正しく申告するよう十分注意してください。
出典
デジタル庁e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百三条
豊島区 通勤手当の不正受給に係る職員の処分について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー